冬 の 色

 

 

古来より日本人は、冬も日本の美しい四季の一つとして捉え、

多彩な色合いでもって、冬の豊かな情趣を愛でてきた。

 

 

       冬 の 伝 統 色

 

     銀鼠(ぎんねずみ)

     消炭色(けしずみいろ)

     薄香色(うすこういろ)

     千歳緑(せんざいみどり)

     朱色(しゅいろ)

     藁色(わらいろ)

 

 

地味な色合いの中の僅かな色の違いを楽しむ人々が創り出した冬の伝統色は、枯れ侘びた景色に墨絵の風情を感じ、正月飾りの常緑の葉に、冴えた朱の彩りが新年を飾り立てている。

 

近年、この日本人の色彩感覚を上手く作品に活かした詩人がいた。作詞家の千家和也である。そのタイトルもずばり「冬の色」  

 

 

         「 冬 の 色 」

 

    あなたから許された口紅の色は

    からたちの花よりも薄い匂いです

    くちづけもかわさない清らかな恋は

    人からは不自然に見えるのでしょうか

    いつでもあなたが悲しい時は

    私もどこかで泣いています

    恋する気持ちに疑いなんてありません

    あなたなら仲のいい友達にさえも

    微笑んで紹介が出来る私です・・

 

 

 

   

          大和 當麻寺

 

 

 

雪の淡く清らかな姿に、純真な恋を重ね合わせる感性がこの歌詞にあり、薄香色も可憐な色が冬の色として創り出されている。

その色は案外「蝋梅(ロウバイ)」がもつ色と香りかもしれない。

 

陽射しの温もりが冠雪を融かす中で、ほのかに清純な香りを漂わせる可憐な蝋梅に、レンズの照準を合わせた。

 

 

 

                                    近江長浜