270ページ弱と それほど多くはないページ数だったけど

私は理解とまでは なかなかいかなかった本だったので

この本の読了までかなりの時間がかかってしまいました。

 

 

取材先は 精神科医の斎藤学さんが立ち上げている”デイナイトケア”という

精神を病んでいる人達が集うミーティングの会のような場所で

齊藤さんへの取材だけでなく

回復途中の患者たちが辿って来たインタビューに多くが割かれています。

 

まず最初に出てくるのが

被害者にとっては 生涯に渡ってトラウマになるだろう痴漢加害者で

しかも彼にはその自覚がないということに 驚きましたが

カミングアウトの場所に 同じような性被害者がいるということに

素人ながらフラッシュバックなど大丈夫なんだろうか?と思ってしまいました。

 

しかも、その痴漢被害者の中に

「反省している人がいることに感動して応援したい」と言っているとか

本当に そんな風に思えた人がいるのだろうか?

う~ん・・・どうも理解しがたい・・・。

 

カミングアウトした本人は  今まで隠していたけど

救われる被害者がいたという満足感でいっぱいになって

現在は 精神保健福祉士の資格を取って活動しているんだとか。

 

つまりこんな例のように ”リカバリーアドバイザー”として育てるために

”デイナイトケア”が存在する一面もあるんだそう。

 

齊藤さんが仰るように アディクション(依存症)の問題は

その問題を抱えている本人しか カウンセラーになりえないということは

一面正しいと言えるかも知らないけど・・・。

被害者が存在する場合

どうしても肯定しがたい思いが沸き上がってしまう私は

この本を理解しきれてないのかもしれません。

 

更に言うなら この会の中同士での 結婚も多いんだとか。

まぁ、お互いに理解しやすいんだろうけど

子供まで作っている例もあって

う~ん・・・生まれてしまった子供側からしたら

それはどうなんだろう?と思ってしまう・・。


 

他、万引きなど 犯罪に関わってくる人だけでなく

自分を痛めつける 引きこもり、摂食障害者へのインタビューもありましたが

全体的には どの人も機能不全家族という共通項がありました。

 

もちろん、機能不全の家庭で育った全ての人が

歪んだ心になっている訳ではないけれど

依存症になる人の多くに 家庭環境に問題がある人が多いんだと思います。

 

発症しているのは

その人にとって必要だから症状が出ていて

主訴については ”嘘”という言い方がしてあり

症状そのものにフォーカスしない治療は 

遠いように見えて 実は近道でもあるかも。

 

加害者の多くは 加害者になる前は

多くが被害者の面があることは 今では知られていることで

機能不全家族というワードに関しては

そういう家庭環境を築いてきた親自身が悪く

この本でも その親が”加害者”で

子ども自身は 被害者の面もあるというのは理解できますが

その親自身が 何故そういう人間になってしまったのかという

根幹に注視する必要があるのでは?とも思うのです。

被害者が加害者になっていくという つまり 負の連鎖ですね。

それについては 言及がなかったのが残念だったかな。

 

その連鎖を辿っていけば

既に亡くなってしまった先祖にまで辿り着く場合も多い気もします。

 

大袈裟に言えば 親や先祖が辿って来た背景の歴史ですね。

私も個人的には 思い当たることに 気づいたのが最近なのですが

生きている親、亡くなってしまった先祖を恨んでも

なにも変わらないけど

それを知ることで 自分自身変われることもある気もします。

 

 

タイトルの”伴走者”とは 

この本では 精神科医の斎藤さんのことかな?と思ったのですが

そうだとすると 齊藤さんご自身 かなりの高齢になられており

この先はどうなるんだろうか?と 心配にもなりました。

しかも サブタイトルが ”治っても通いたい患者たち”って

単に依存先が変わっただけで

根幹は何も変わってない気もしました。

 

・・・と 自分の中でも 矛盾した思いが交錯し

複雑な感情が沸き上がってしまう本でした。