今回読了した辻堂ゆめさんのこの本。

何が正しいのか?或いは正しいことなんてないのかも

・・と複雑な気持ちになりました。

 

そう考えさせられたのは 第三章 

生まれた頃から 自然の中でずっと育ってきた佳代の章。

 

戦争で離れ離れになる寂しさ、苦しさを経て

死んでしまったと諦めていた孝光が奇跡とも言える戻ってきた時

何があっても もう絶対にこの幸せを、この村を手放さない!と

それだけを心の支えに生きていたんだろうな~と

胸が締め付けられる感情が湧き出てしまいました。

 

たとえ 一人になっても 村を出るという選択肢を選ばなかった佳代。

読んでいると その頑なさが 他人を、そして自分を苦しめているんだろうなと

もどかしさを感じてしまいます。

 

表面的には 単に郷愁の気持ちの頑なさでしかないようにみえるけれど

佳代夫婦を突き動かした心の根底には 

否応なしに 変化を強いられたあの戦争が

心の奥深くに心の傷となって命さえ惜しくないと思わせてしまったのでしょうね。

 

読みながら・・・

だけど、私達は 古代から 少しずつ何かしらの破壊を行いながら

現在があり そして生きているんだよとも感じたりも。

だけど、それを佳代に伝えるのは 

あの戦争を知らないことだから言えるきっと酷なことなのでしょう。

 

しかし、第一章に戻ってみると

災害に遭い

ここで復興を目指して生きていこうとする農家も。

 

どちらも 子供の頃の良い家族関係が根底にあり

だからこそ生まれ育った故郷を大切に想うその気持ちがあることが伝わってきます。

 

一方、私個人は そういう感情がないので 羨ましくもあり

逆に身軽なこの身で良かったなと思う気持ちもあったり・・でしたね。