こちらの県立図書館の大河ドラマに寄せた企画展で
関連本がディスプレイされていて
その中にあったこの本を読んでみました↓
今では博物館などのレプリカでしか観たことがない牛車だけど
多種多様な形態があることを初めて知りました。
更級日記、枕草子、蜻蛉日記などの記録から 著者による解説があって
最大4人乗りで 身分に応じて
誰がどの位置に乗るかで 関係性が分かり
標準装備の種類、乗る際の作法
牛車同士が鉢合わせした際の礼儀や
牛と操る牛飼童にもランクがあったことなど
なかなか興味深い内容でした。
乗る際の作法として 後ろから乗って 前から降りるのに
源義仲は その作法に則らずだったので
笑いものにされたそうで
あ~、平安貴族の意地悪さを感じてしまった私も
品性に欠けるかしら?
牛車の仕様としては
檳榔というアジアの暖かい地域に生えている植物を葺いた
<檳榔毛車>という乗り物が最高級の牛車だそうで
時代が下るに連れて 入手困難となり廃れていったとのこと。
史料によると<檳榔毛車>を使用した最後の人物は足利義尚で
450年以上経ってから 完全になくなったようです。
因みに これも史料によると牛車に乗ったことが確認されている最後の人物は
豊臣秀吉で その風景が絵師によって残されているとのこと。
派手好きな秀吉らしいエピソードだな~
本書に「平安貴族は 乗り物意外にも徒歩が案外多かった」とあったけど
それは 神仏の祈願の際や 大内裏の中に限られていたようで
まぁ、それはそうでしょうね・・と、あまり意外ではなかったかな。
いつもいつも牛車という訳でもなく
騎馬の使い分けも行われていたようですが
人々の目を気にしていた様子も書かれていました。
それよりも かなり意外だったのは
牛車の熱心な研究者だったのが 松平定信だったということで
源氏物語のかなりの愛読者だったようで
なんと7回も書写を繰り返したんだそう。
奢侈禁止令を出した彼だけど 豪華絢爛な平安貴族を
どんな気持ちで眺めていたんでしょうね。