今回も大河ドラマを意識した本となりました↓

 

 

吉原で生まれたとされる蔦重こと蔦屋重三郎。


彼が目指したのは 気軽に読める戯作や浮世絵を扱う「地本問屋」で

最初に手掛けたのが 吉原細見という 所謂、ガイドブックのようなもの。

 

吉原の存在の是非はありますが

彼の境遇もあって吉原の女性達は 単なる商売道具ではなく

ある意味、思慕を感じる存在となっていて

”女郎”ではなく 大切な意味を込めて”上臈”と呼んでいたとありました。

 

やがて 限られた廓内で楽しみが少ない上臈たちが

蔦重が扱う戯作を待ちわびるようになり

次々に戯作者たちが育っていくことに。

どれだけ 本に慰められていたかは

ある花魁の言葉によって如実に表現されていました。

 

江戸時代の戯作者、絵師を扱った小説家の本は 今まで数冊読んできて

知っている戯作者、絵師たちが 登場していましたが

読むたびに違った印象となっています。

 

私の中では年を重ね孤高の人と印象しかなかった葛飾北斎の若い頃の姿や

別の本では 自信がない姿だった喜多川歌麿の驕慢なプライドの高さに

意外な面をみたようで なかなか面白かったですね。

 

そんな 気難しく個性的な戯作者、絵師とも

蔦重は緩急を使って付き合っていくし

販売方法、アイディアを出していき

当時、吉原と同じように”悪所”とされていた歌舞伎だって

彼の手にかかれば 人々の憧れにさえなるという感じで

その敏腕プロデューサーぶりには 感心するばかり。

 

単に金儲けの為に 本屋を営んでいるのか?

と悩む蔦重の背中を押したのが

恋川春町のある言葉で

それこそが 今も人々が読書に楽しみを見出す面になっているんだろうな~

と感じさせてくれました。

 

しかし、時代は老中松平定信による奢侈禁止令という暗黒の時代へ。

逼迫する財政が原因だったでしょうか

一体、彼はそうまでして規制することで 何を目指していたのかは

未だ私には分かりません。

 

これに関しては 歴史番組や本などで知ることができたら

彼を理解できるかも。


 

以前にもこの写真を載せたけど

あ~、この場所で蔦重、戯作者そして絵師たちがいたのだな~と

感慨深い思いをしながらの読了となりました。

 

来年の大河ドラマの蔦屋重三郎。

NHKが当時の時代背景をどこまで描くのか?

楽しみです。