市立図書館ではかなりの順番待ちが予想されたので

ダメ元で県立図書館を検索してみたら

思いのほか すぐに借りることが出来ました。

 

山本淳子さんによる道長の人となりの解説本。

 

今の処、大河ドラマでは純粋な道長像で描かれていますが

今後は こういう物の怪に怯える姿も見られるのかな?と

楽しみ・・と言っちゃ気の毒かな?滝汗

 

生まれた時から 兄が二人もいるし

権力欲などなかったクリーンな道長が

ダークな姿に向かっていくきっかけは

すぐ上の兄、道兼の死の瞬間だったんでしょうね。

更に周囲が 勝手に落ちていく失脚だったりもあって

言ってみれば 棚ぼたの状況が目の前に来たので

あれ?これ、もしかして権力掴めるんじゃ?

と、思ってしまったのは無理もないことなのかも。

 

だけど、実力で掴んだ幸運ではないこともあってか

先に死を迎えた兄らからの恨み・・それを物の怪の仕業と怯える姿は

現代の表現で言うなら それは”罪悪感”と言うべき言葉で

かなり哀れに感じてしまいました。

 

庇う訳ではないけど ここまでなら 道長が意図した訳じゃないんだし

そこまで罪悪感を感じなくてもという気もするけれど

この幸運は 兄の死の上に成り立っているという異常な状態が

常に心から離れなかったという面もあるんでしょうね。

 

人は思いがけない幸運がもたらされると

嬉しさよりも 怖さを感じてしまうもので

それはいつの時代でも同じことですよね。

 

だったら なるべく 罪悪感・・物の怪に襲われないような

行動を取ればいいのに・・と思ってしまうけど

それは後になって後悔するのが人間というもので

その時に気づくような 立派な人間は そうそういないもの。

 

この幸運を逃すものか!と

自らの娘たちを使って 盤石な権力を掴もうとする道長。

彰子が定子の遺児を育てたのは 優しさからと思っていたけど

背後に道長の黒い思惑があったんですね。

 

もう一つ、今まで私の中で謎だったのが

最初の項で一条天皇と定子をモデルにしたような

切ない「源氏物語」を書いた紫式部が

何故、道長の命で彰子の女房として仕えたのかだったんですが

ここにも 道長の思惑があったようです。

それを知ってから 「源氏物語」を読んだ方が 面白いかも。

 

「善と悪」 或いは 「強さと弱さ」を

私達に見せつけてくれた人生で 

それは誰もが持ち合わせているような 気もしました。