今年の大河ドラマは紫式部が主人公だからか
「源氏物語」に関する本も多数出ているみたいで
その中で 平安時代を感じさせないこの表紙のこの本が気になっていました。
しかも、著者はお名前だけは存じ上げていた山崎ナオコーラさん。
初読み作家さんでしたが
数ある「源氏物語」の考察本がありますが
なかなか面白く新鮮でした。
学生時代、「源氏物語」の面白さがイマイチ分からなかった私。
例え現代語訳されたものでも 理解が出来なかったけど
本書、最初の章「今、読みにくさをどうやって超えるか」で
現代的意識で考えていたからだったのだな~と。
身分制度によって 人生が決められてしまう超えられない壁。
母親の身分の低さが原因とされ
親から子供を取り上げて別の人に育てさせる。
不倫、ルッキズム、ロリコン、性暴力。
意識しない・・いや、意識の根底にもなかった差別意識。
・・など、現代では時に犯罪でもあった社会規範が
当然だった時代のお話として捉えないと理解しがたかったのですね。
山崎さんの言葉で「差別の加害者の多くが 悪気はなく善意の人だった」とは
現代人としては 理解しがたい面もあるけれど
そういう視点で 源氏物語を読んでみると なるほどな~と。
「源氏物語」は 文字を読める当時の高貴な人物たちに
向けての物語だっただろうけど
しかし、やっぱり現代人としては
当時の天皇や貴族は 為政者でもあったんだから
社会的弱者や貧困者にも目を向けて欲しかったな~と
どうしても思ってしまう・・。
光源氏の産みの母親、桐壺更衣、紫の上、女三宮、明石の御方、夕顔
・・といったヒロインを登場させているのは
紫式部にそういう意識があったのかも・・と想像してしまいますね。