図書館の予約カゴにずっと入っていた本を借りてきました。

 

 

「生活保護」をテーマにした本で思い出されるのは

中山七里さんの『護られなかった者たちへ』ですが

本書は また違った方向からこのテーマを扱っていました。

 

生活保護受給者のことを親身になって寄り添い

自立に尽力していた市役所職員のケースワーカーが

殺される事件に端を発した話が始まります。

しかし、あの人望厚い彼の背後に ヤクザの陰が・・?。

まさか、不正受給に彼が関わっていたのか?!という疑惑が沸き上がり

最後の瞬間まで ハラハラしながら読んでいきました。

 

様々な理由で社会的弱者となり

介護が必要になったり 生活保護を受けることになるのは

誰にでも可能性がある訳で

この制度があるからこそ

未来に希望を信じて生きようとする人達がいる一方で

本書では不正受給者に焦点が当てられていて

その陰にある貧困ビジネスという闇について考えさせられました。

 

タイトルのパレートとはイタリアの経済学者の名前で

ある分野における8割を全体の一部である2割が

支えている法則という意味を唱えたんだそうで

働き蟻の法則と同じ意味合いでも使われるとのこと。

 

だけど、もし、そんな風に世間が 2割以外は 無価値だと考えるなら

パレートにとって それは誤算なんだという若者もいました。

 

社会の助けを借りて やがて助けられた者が

また他の誰かを助けるようになっていく。

つまり、社会は助け合って支え合ってこそ成り立っていくのだと。

 

生活保護申請が通らず 不幸な結果を招いてしまった報道を見るにつけ

私達部外者は 無慈悲な役所職員として彼らを責めがちですが

報道されない日頃の彼らの苦悩、努力と共にある支援を

今回、この本で知ることが出来ました。