タイトルから分かるように

病院で最期を迎えた人ではなく

事件死、事故死、孤独死、病死の後

発見が遅れてしまった部屋の

清掃を行うお仕事小説(?)的なお話でした。

 

似たようなお話は 『跡を消す』という本を以前読んだことがあるのですが

今回読んだ「特殊清掃人」も かなり凄惨な描写はありながらも

それよりも そこに住んでいた人、そして彼らに関わっていた人間模様中心に

4篇からなるお話でした。

 

普段、こういうお仕事に触れる機会がないけれど

見た目の凄惨さはもちろんだけど

黴菌、ウィルスなど感染症の温床のような現場に立ち向かう方々の存在には

頭が下がる思いでした。

 

「人が死んでいった痕跡はなかなか消せないもの」

見た目の痕跡と共に それは目に見えない臭いもある訳ですしね。

 

どんな状況下で 死を迎えるかは誰にも分からないし

自分は絶対に こういう最期を迎えることはない

・・・などと言える人はいない訳で。

 

人間はいつかは死ぬもので

そうなった後は 一個の物体でしかなく

その物体化した体を 誰かに後始末をしてもらわなければならないんだな~と。

 

ミステリー要素も加わっていたけど

想像されてしまう結末だったのが物足りなかったかな・・という印象。

 

法医学者の上野正彦さんが著書「死体は語る」で

「死体は本当によくしゃべる。真実を間違えずにちゃんと見てと訴えてくる」

・・と仰っていたけど

まさにあの本は「事実は小説より奇なり」という感じだったことを思い出します。