引き続き「一路」下巻を↓

 

上巻は文体に慣れるのに結構時間がかかったけど

下巻はスムーズに読めました。


師走の厳しい季節の中山道。

行列の道中行き合い。

御本陣差し合いにおける家格。

‥等々 困難続きの旅でした。

 

父親の急死でいきなり家督を受け継いでいたのは

一路だけではなかったんですね。

 

表向きにはうつけ者とか言われていても気にせず

いくら軍記物語が好きとは言え

発熱中にも関わらず

夢中になって耳を傾けたり

叱られるのが心地よいと感じたり

何本もの葱を背負ったりする蒔坂家のお殿様のキャラ!

結構、私好きだったな~。

しかも 苦しんでいる最中に限って「鎌倉炎上」の場面なんて!

思わず笑ってしまいました~。

 

あ、もう一人!

一路に一目ぼれしてしまう乙姫様の可愛い事と言ったらもう!

彼女も叱責された時 嬉しそうだったな~。

 

本書では悪役を担っていて 終始、読者をイライラさせる叔父の将監。

跡継ぎ争いという背景によって

心ならずとも叔父の将監の叛心を招いてしまったと嘆くお殿様。

そんな叔父を想う心は切なかったな~。

 

タイトルが<一路>なんだけど

特に御供頭の一路が主人公という訳でもなくて

道々で起こる突発事項に対して 

いかに協力していくかがテーマだった気がします。

 

著者の浅田次郎さんは 本書で「一所懸命」に拘っておられて

恥ずかしながら 私、今までこの言葉を「一生懸命」と言ってましたけど

そうですよね、「一所懸命」ですよね。

 

中山道の西美濃(架空の)田名部宿から江戸までの旅でしたが

昔の人は本当に難所続きのこの道中を

こんな風に歩いていたんだな~と本当に感心するばかりです。