広重の小説が出ることを知ってから
楽しみに 随分、順番待ちしましたが
やっと読むことが出来ました!
常火消同心の家に生まれた広重。
現在私達に江戸時代の風景を遺してくれたことは多くの人が知っています。
名だたる先輩絵師に憧れと嫉妬を抱きながら
ベロ藍との出会いによって
季節、風、天気によって変化する風景を面白がり
自然に翻弄されながらも活き活きと生きる人を面白がる目を持っていて
そんな魅力ある大好きな江戸の姿を描くことを夢見ていた広重の姿がありました。
訳あって不本意ながら
不得意なワ印と言われる艶本に手をかけることになった時の画号が
「色重」って
も~、広重さんったら、お茶目
こんなにも朝風呂を楽しみにしていたとは
何だか親近感を覚えてしまいます
豊国との双筆作品を観たことはありましたが
実際はどうだったかは分からないけど
実はこういう経緯があったのは真実かも?!
妻の加代、養子にと考えていた昌吉、父のように慕っていた喜三郎
二番目の妻のお安、養女にした妹の子お辰に対する温かさ
掏摸だった寅吉を弟子にしたり・・・。
時に自分の実力のなさに絶望し
時に調子に乗って、また落ち込んでみたり。
周囲の人間に素直になれず強がったり
甘えてみたりする一方で
優しさを感じさせたり
江戸っ子ならではの口の悪さもご愛嬌とばかりに
とても人間らしい魅力あふれる姿がありました。
当時流行していたコレラで亡くなったとされている広重。
人の死は哀しいものですが
本書で描かれた広重の最期の場面の描写は
晴れ晴れとして素晴らしかったです!
安政の大地震で
民が苦しんでいる様子を目にして
絵師の役割を自覚して
「江戸名所百景」に取り掛かることを決心した広重。
広重の絵に魅了されて以前購入していたこの3冊を
これから眺める時には
梶よう子さんのこの「広重ぶるう」をきっと思い出すことでしょう