図書館の返却棚で見つけた本を読了。

こういう掘り出し物に出会えるから

返却棚って大好きなんですよね~。

 

 

表紙の写真だけで惹きつけられます。

これだけの美人ですものね、そりゃ嫉妬も買いますわね。

この写真の時にハリスの元を去った時で二十歳前くらい?

ところが、P91の42歳のお吉の写真は別人のよう。

歳を取ったことを考慮しても

彼女の苦労、諦めが現われているようにも感じました。

 

この本が書かれたのは随分前のことのようなので

実際は違っていることもあるんじゃないかなとも思いますが・・・。

 

最近の現代認識としてのお吉とハリスの関係は

病床にあるハリスを介護しただけなのに

異人の娼婦として理不尽な差別を受けたというのが通説になっていると

本か何かで聞きましたし

私の認識としても それくらいしかありませんでした。

 

本書ではお吉には憧れていた船大工、鶴松という存在があったらしいのですが

彼は名字帯刀の侍に取り立ててもらえると聞き

お吉は捨てられ 彼女は反抗心から当時は忌み嫌っていたはずの異人ハリスに

仕えたとなっています。

 

ハリスの元では嫌々ながらの日々で

時にハリスの嫉妬も感じながらも

段々と情が湧いてきて 日本人との間に誤解が生じた時には

双方の間を取り持つこともあったらしいです。

 

一方、アメリカではハリスのことは

「女を軽蔑していた野蛮人な彼がお吉という教養のある女性と接していくうちに

人間性に目覚めていく」という内容の本が出版され

これがベストセラーにまでなったそうです。

アメリカでのハリスの人間像ってそういう風だったんですね。

実際、彼はアルコール中毒者だったそうですが

それも相まってそういう人間像になってしまったんでしょうかね。

 

そんな彼女は 維新後、差別的視線の中、入水自殺。

異人と交流があった彼女の遺体は しばらくは放置だったそう。

はぁーっ、そりゃ、今も差別ってなくなってないけれど

昔の蔑視の感情って・・・ここまでなのね・・・。

 

そして、時は第二次世界大戦後・・・

しばらくすると維新後のお吉の聡明さや冷静さや

彼女を政治利用した明治政府への怒りなどが明らかになり

小説や舞台にまでなり やっと彼女のことが見直されることに。。

 

そして、現在は・・・

静岡県下田市にある宝福寺に<唐人お吉記念館>があるそうです。

 

歴史の陰では こんな女性の人生があったんですね。