予約を入れてから早半年が過ぎて

やっと手元に届きました。

 

 

妊娠中に轢き逃げ死亡事故を起こしたかおりが

服役後に 産んだ我が子会いたさに心を病んでいったり

居住地を転々とせざるをえない過程の描写は

苦しさに胸が潰れる思いでした。

 

果たして、かおりが救われることがあるのか?

いや、人を死なせておいて救われてはいけないのだろう

…という二つの感情が入り混じってしまって…

 

 自分には決して起こりえない不運、不幸とは思えず

終止、かおりと関わり合いを持った人物と

そしてかおり自身にイライラが募る感情を抱えながらも

更に息子への想いを綴っていくノートなど

ページを捲る手を止めることが出来ず

久しぶりに夜中まで読んでしまい寝不足気味。

 

 

読む前から決して愉快な小説ではないことは

レビューで薄っすらと知っていたけど

「熟柿」が不吉な不幸への入り口だったはずなのに

意外にも最後には赦しの意味へと繋がったような気がしました。

 

2026年本屋大賞2位だそうですが

私的には1位じゃないかと思ったくらい。

(1位の作品読んでないけど…)

 

中央図書館横の野毛山動物園に行ったタイミングで

タイトルが江戸の「あにまる」?!

これは読みたくなる本です。

 

 

江戸時代の動物と言えば

ペットとしての犬猫くらいしか思い浮かべそうにもないですが

将軍の依頼で海の向こうからの船で

象だの駱駝などが来ていたらしいことを 以前、知りました。

 

あの時代だったら 私だってひと目観たくなったでしょうね。

 

当時としては珍しい動物たちを観た人たちの

驚きの様子も描かれてはいましたが

今のように檻から遠く離れた場所で鑑賞というよりも

もっと近い距離だったので 笑ってしまう場面も度々爆  笑

 

 

石樽藩の江戸留守居役の下で働くお人よしで気弱な幸之進と

好奇心いっぱいの福助。

この2人に加わる藩主の奥方の小桜という人が

男勝りのお転婆娘という感じで

この3人が様々な動物との関りへと誘ってくれるお話。

 

駱駝、羊は分かるけど

和名の「豆鹿、山鮫、伽藍鳥、猩々」は現代で言うなら何の動物だろう?と

想像しながら読むのはなかなか楽しかったです。

それにしても 羊の毛から羅紗…つまり毛織物ものを時代に既に造っていたの?!

 

好奇心旺盛な子供時代の勝海舟だったり島津斉彬だったりは

それまでの認識と重なっていたけど

その島津斉彬の曾祖父である島津重豪の蘭癖が与えた影響にワクワクアップ

鼠小僧の正体や伝説の生き物の河童って

もしかして、もしかするかも?爆  笑

 

更にそれまで冷酷な人物という認識だった鳥居耀蔵が

ちょっとユーモラスに描かれているのが意外でした。

 

あれから数十年経った最後の章、鎖国が解かれた時代へ。

あの頃を懐かしく思い出している登場人物たちの想いが感慨深かったです。

 

 

本書は2026年吉川英治文学賞受賞作品の作品だそうで

朝井まかてさんというだけで読みたかった本です。

 

 

 

 

天保の時代において銘物の茶道具などを抱え

人から人へと仲介をする道具屋商いを生業にしている大坂の骨董屋の

跡継ぎであったはずのどら蔵こと、寅蔵は

真贋の目利きの目を持ちながらも

修行先での放蕩が重なり実家から勘当され

江戸に出奔することに。

 

元来が羨ましいほどの成り行き任せの楽天的性格からか

江戸で巡り合った人々から呆れられながらも助けられたり

いつの間にか借金が嵩んでいったり。

その様子がユーモラスに表現されていました。

 

江戸においても次から次へと誰かの下で修業の身へ。

親から勘当されているというのに

お調子者なのでボンボン息子だと自己紹介したりはするけれど

驕り高ぶる訳でもないので何故か目が離せない魅力あるどら蔵が

知り合った人々との間で浮かんだアイディアを発揮しながら

段々と成長していく物語という感じでしょうか。

 


久太郎が抱える富山の薬売りの背景や歴史的由来を知ることになった際の

恋愛模様には切なさを感じた一方で

江戸の女性たちの小気味よい気風の良さにはスカッとしました。

 

さて、どら蔵はこのまま江戸で商売を続けるのか?

大坂では大塩平八郎の乱が勃発し

実家の家族への心配が募るどら蔵は

果たしてどうするのか?

 

窮地にあっても

最後までどら蔵のポジティブさと暢気さに救われたお話でした。