有吉佐和子さんの本はこれで何冊目でしょうか。
社宅内の人間関係に悩まされる主婦が主人公という
今まで読んできたのとは毛色が違った作品ということで
予約を入れておきました。
私自身は夫が転勤族ではありましたが
本書の音子が住んでいるような所謂、社宅団地のような場所ではなかったので
隣近所中に 会社内での夫の立場が比較されて
悩まされるようなことがなかったのは
幸いだったと言えるのかもですね。
こんなにも お互いに家の経済状態や生活様式が知れ渡っていると
そこにはどうしてもマウントの取り合いが生じ
いくらそんなことは気にせずにいればいいのだと思っていても
こんな状況下だと実際、周囲の目を気にせず生活していくのは至難の業かも。
そこに子供の成績が絡むとなると…。
本書の音子はかなりの口の軽さにより
被害者意識が生じて自身を窮地に陥らせている面もあるのだけれど
それに気づかずにいることが滑稽でもあります。
最初はそこに不快感もありながらも
いつか自分を顧みることになるのだろうかと読み進めていくことに。
時代は高度成長期。
結婚後に女性が働くなどほとんどなく良妻賢母が推奨されていた当時。
音子自身もそれは自覚があるようで
だからこそ 夫の出世や子どもの成績上昇に全力を尽くすことが使命という意識が強く
「だって、私にはそれしかないんだもの」と言っています。
それを閑という一言で片づけては気の毒だけど…
中立な目線で言えば何を馬鹿なことをという感じですが
自身に置き換えてみれば
形は違えども 誰にでもそういう思考って今もあるのではないかな。
自分たち家族より劣っていたはずだった家庭に
焦る音子の矛盾した感情への皮肉を
あまり熱心に悩んでいない夫に言わせている有吉さん。
一方、冷静になるどころか 更にヒートアップして悩む音子。
音子の言動は確かに度を越えているとは思うけど
すっかり子育ても終わって そういうことから解放された今
視界が狭くなってしまう感情には同情の気持ちも沸き上がってきます。
最後は収まる処に収まる訳ですが
嫉妬やプライドやコンプレックスが空回りする様子を
ユーモアと共に皮肉で描かれた小説で
思わず自分に重ね合わせて苦笑しながら読み終わりました。
それにしても この本の前に命を懸けた戦争中のお話を読んでいたこともあって
それと比較して
戦後、20年くらいで日本はこんなにも変わっていたんだと
改めて驚くばかり。
そう言えば、戦後生まれと思しき昭和40年代の若者へ
「昭和20年8月15日は何の日でしょうか?」というインタビューで
「しらな~い」という人がいてかなり驚きました。
まぁ、そういう人を選んで放送したってこともあるでしょうが。。
本書に登場する主婦たちは戦争を経験してきた30代のようで
「電気洗濯機、掃除機、冷蔵庫が当たり前にあってまるで女中を雇っている身分だ」
と言っていて
日本の急速な経済成長を感じたりもしました。














