アルティ四重奏団 京都公演 ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第8番 ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

弦楽四重奏の最高峰

京都アルティ弦楽四重奏団

 

【日時】

2023年9月23日(土祝) 開演 15:00 (開場 14:15)

 

【会場】

京都府立府民ホール アルティ

 

【演奏】

京都アルティ弦楽四重奏団

 ヴァイオリン:矢部達哉

 ヴァイオリン:豊嶋泰嗣

 ヴィオラ:川本嘉子

 チェロ:上村昇

 

【プログラム】

モーツァルト:弦楽四重奏曲 第21番 二長調 KV575 「プロシャ王 第1番」

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第8番 ホ短調 Op.59-2 「ラズモフスキー第2番」

 

※アンコール

モーツァルト:弦楽四重奏曲 第15番 二短調 KV421 より 第3楽章 Menuetto

 

 

 

 

 

京都アルティ弦楽四重奏団の本拠地での第27回公演を聴きに行った。

ポスターのキャッチコピーは“弦楽四重奏の最高峰”となっているが、実際、上里はな子率いるメルセデス・アンサンブルと並んで、アルティ四重奏団は日本の弦楽四重奏団の最高峰だと私は考えている。

 

 

 

 

 

前半の曲は、モーツァルトの弦楽四重奏曲第21番。

この曲では、第1ヴァイオリンを豊嶋泰嗣が、第2ヴァイオリンを矢部達哉が担当した。

この曲で私の好きな録音は

 

●ウィーン・フランツ・シューベルト四重奏団 1994年セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube1234

●ハーゲン四重奏団 1995年1,2月セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube1234

●アルミーダ四重奏団 2020年1月セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube1234

●キアロスクーロ四重奏団 2020年11月23-27日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube1234

 

あたりである。

上のものほどウィーンの味わいがより濃く、下のものほどより洗練された演奏となっている。

 

 

今回のアルティ四重奏団の演奏は、これらの中ではウィーン・フランツ・シューベルト四重奏団に近いか。

本場のウィーンの味わいはないけれど、豊嶋泰嗣の第1ヴァイオリンと上村昇のチェロの素朴な味が、モーツァルトの音楽にちょっとした華を添えている。

そして、それを支える矢部達哉の第2ヴァイオリンと川本嘉子のヴィオラによる盤石の内声部が大変頼もしい。

この相当にうまい二人が、演奏全体のレベルを底上げしている。

 

 

 

 

 

後半の曲は、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第8番(ラズモフスキー第2番)。

この曲では、第1ヴァイオリンを矢部達哉が、第2ヴァイオリンを豊嶋泰嗣が担当した。

この曲で私の好きな録音は

 

●ハーゲン四重奏団 2010年5月19-22日、12月3,4日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube1234

 

あたりである。

 

 

“弦楽四重奏団の王”とも呼ぶべきハーゲン四重奏団は、ベートーヴェンを弾かせたら右に出る者がない。

この曲も、フルトヴェングラーの振るエロイカ交響曲のような威力をもつ冒頭の2音から、息もつかせぬ終楽章コーダまで、これぞベートーヴェンというほかない迫力と威厳に満ちている。

ジュリアード四重奏団(1964-1970年)、クリーヴランド四重奏団(1991-1995年)、ミロ四重奏団(2004、2012、2015-2019年)、ドーヴァー四重奏団(2018-2021年)らの全集も好きなのだが、ついどうしてもハーゲン四重奏団ばかり聴いてしまう(ぜひベートーヴェン全集を完成させてほしい)。

 

 

今回のアルティ四重奏団の演奏は、ハーゲン四重奏団の凄味はないけれど、比較的ゆったりとしたテンポによる、品の良いものだった。

先ほどのモーツァルトでは内声部から全体を支えていた矢部達哉と川本嘉子、音の正確性の高い二人が、このベートーヴェンではそれぞれ高音域、低音域を引っ張る役割を担う(第1楽章展開部など特にそう)。

その結果、緩やかなテンポでありながら、全体の印象がぐっと引き締まったものとなった。

そして終楽章は、矢部達哉の面目躍如。

やっぱりこの楽章は、第1ヴァイオリンがうまいと相当に映える。

コーダではしっかり加速され、高揚感もあった。

 

 

 

 

 

緻密で端正な矢部達哉/川本嘉子と、音に味のある豊嶋泰嗣/上村昇。

絶妙な取り合わせの四人だと思う。

昨年は(私は聴き逃したが)ラズモフスキー第1番、今年はラズモフスキー第2番だったということで、来年はできればラズモフスキー第3番を期待したい(今回と同じく矢部達哉の第1ヴァイオリンでぜひ)。

 

 

 

(画像はこちらのページよりお借りしました)

 

 


音楽(クラシック) ブログランキングへ

↑ ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、クリックお願いいたします。

 

YouTube(こちら)やTwitter(こちら)もよろしければぜひ!