日本雅楽協会雅楽隊 兵庫公演 越天楽 蘭陵王 納曽利 長慶子 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

グリーンフェスティバル

雅楽公演 ~令和五年、新たなる時代へ向けて~

 

【日時】

2023年5月13日(土) 開演 15:00

 

【会場】

神戸学院大学 有瀬キャンパス メモリアルホール (兵庫県)

 

【演奏】

舞:酒井康博 *、井上美由紀 #

管弦楽:日本雅楽協会雅楽隊

 

【プログラム】

管絃「越天楽」平調 (かんげん えてんらく ひょうじょう)

 1) 平調 音取 (ひょうじょう ねとり)

 2) 平調 越天楽(クルマ吹き) (ひょうじょう えてんらく)

 3) 平調 越天楽 残楽三返 (ひょうじょう えてんらく のこりがくさんぺん)


舞楽「蘭陵王」 (ぶがく らんりょうおう) *

 1) 小乱声 (こらんじょう)

 2) 陵王乱声 (りょうおうらんじょう)

 3) 沙陀調音取 (さだちょうねとり)

 4) 当曲 蘭陵王 (とうきょく らんりょうおう)

 5) 安摩乱声 (あまらんじょう)


舞楽「納曽利」 (ぶがく なそり) #

 1) 高麗小乱声 (こまこらんじょう)

 2) 当曲 納曽利 破 (とうきょく なそり は)

 3) 当曲 納曽利 急 (とうきょく なそり きゅう)


退出音声「長慶子」 (まかでおんじょう ちょうけいし)

 

 

 

 

 

神戸学院大学で開催される音楽祭「グリーンフェスティバル」に雅楽の演奏会がある、それも舞楽が含まれているということで、貴重な機会であり聴きに行った。

演奏は、2017年設立で神戸を中心に活動している雅楽団体「日本雅楽協会」。

 

 

 

 

 

今回のプログラムで私の好きな録音は

 

【平調 越天楽】

●宮内省式部寮雅楽課 1941年セッション盤(Apple MusicCD

●東京楽所 1986年12月以前セッション盤(Apple MusicCDYouTube

●伶楽舎 2001年11月以前セッション盤(Apple MusicCDYouTube

 

【平調 越天楽 残楽三返】

●東京楽所 2000年8月以前セッション盤(Apple MusicCDYouTube

 

【蘭陵王】

●東京楽所 1993年6月以前セッション盤(Apple MusicCDYouTube12345

 

【納曽利】

●東京楽所 1993年6月以前セッション盤(Apple MusicCDYouTube12

 

【長慶子】

●伶楽舎 2001年11月以前セッション盤(Apple MusicCDYouTube

●芝祐靖(龍笛) 東儀兼彦(篳篥) 豊英秋(笙) 2002年8月17-19日セッション盤(Apple MusicCDYouTube) ※管楽三重奏版

 

あたりである。

 

 

今回の日本雅楽協会雅楽隊の演奏は、宮内庁式部職楽部のメンバーを中心とした東京楽所や伶楽舎の完成度の高さと比べてしまうと、さすがに分が悪い(特に龍笛と篳篥)。

それでも、西洋のオーケストラよりずっと古くからある、日本古来の形態のオーケストラ(より正確には、中国から伝わった西方の音楽“燕楽”が日本で独自発展したもの)を生で聴けるのは、感激である。

 

 

それに、全体にテンポがサクサクと速めだったのも良かった(速めといっても、雅楽にしてはという程度だが)。

ちなみに、上記1941年録音の「越天楽」は、最近の演奏に比べテンポがあっさりと速い。

また、ガイズバーグによる1903年2月の日本録音はさらに速いという。

つまり、雅楽は20世紀の間にだいぶテンポが遅くなってしまったようなのだ(まるでマーラー演奏のように)。

今回の日本雅楽協会雅楽隊は、そういった今風の抒情的な表現を求めず、もっと推進力があったはずのかつての雅楽を少しイメージさせてくれた。

 

 

そうはいっても、「長慶子」などはテンポの速さに技巧が追いついていないところがあり、上記の東儀兼彦らによるじっくりと丁寧に表現した名盤などをどうしても好んで聴いてしまう。

しかし、「蘭陵王」は舞楽だけあってリズム感が重要であり、今回の日本雅楽協会雅楽隊のテンポ感はかなり良かったと思う。

北斉の名将、蘭陵王に扮した舞も迫力があり(衣装や面もきらびやか)、今回の演奏ではこの曲が最も印象的だった。

 

 

 

 

 

終演後、楽器体験のコーナーがあり、プラスチック製ではあるが篳篥を吹いてみることができたのも、大変楽しい機会だった。

 

 

 

(画像はこちらのページよりお借りしました)

 

 


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