上原ひろみ ザ・ピアノ・クインテット 大阪公演 “SILVER LINING SUITE” | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

上原ひろみ ザ・ピアノ・クインテット

JAPAN TOUR 2021 “SILVER LINING SUITE”

 

【日時】

2021年11月14日(日) 開演 16:00 (開場 15:00)

 

【会場】

ザ・シンフォニーホール (大阪)

 

【演奏】

ピアノ:上原ひろみ *

第1ヴァイオリン:西江辰郎 #

第2ヴァイオリン:ビルマン聡平 #

ヴィオラ:中恵菜 #

チェロ:向井航 +

 

【プログラム】

Someday *#+

Silver Lining Suite

 1. Isolation *#+

 2. The Unknown *#+

 3. Drifters *#+

 4. Fortitude *#+

Uncertainty *

Legend of the Purple Valley #+

11:49PM *#+

Jumpstart *#+

 

※アンコール

Moonlight Sunshine *+

Ribera Del Duero *#+

 

 

 

 

 

好きなジャズピアニスト、上原ひろみのライヴを聴きに行った。

弦楽四重奏を伴った、ピアノ五重奏というジャズには珍しい編成での、彼女の新譜を引っ提げてのツアーである(なお上の曲目は私が聴いての判断で、もし間違っていたらごめんなさい)。

彼女の実演を聴くのは、2011年公演(その記事はこちら、記録のみ)以来、実に10年ぶり。

 

 

なぜこれだけ間が空いたのかというと、私は彼女の本領であるピアノ・トリオの演奏が、録音で聴くのは大好きだがライヴで聴くのは少し苦手だからである。

というのも、彼女のトリオはエレキベースを使うのもあってライヴでは電気的増幅が大きく、彼女の音の美しさがあまり伝わってこない(そのぶん盛り上がりはすごいのだが)。

今回は全てアコースティック楽器ということで、電気的増幅も小さめで(弦楽器は少しキィキィした音になってしまっていたがピアノは良かった)、彼女の極上の美音に酔いしれた。

あの繊細なタッチは、クラシックピアノのファンにこそ聴いてほしい。

 

 

そして、ひろみ節ともいうべき、あのパワーとグルーヴ。

凄まじい勢いで会場を熱狂の渦に巻き込み、最後はほぼ全員スタンディングオベーションだった。

彼女のあのテンションについていける弦楽4人もすごいと思う。

終曲「Ribera Del Duero」では4人それぞれのソロ回しもあったのだが、あれは即興なのだろうか、あんなことクラシック畑の人ができるものなのだろうか。

 

 

曲としては、どれも良かったが、やはり彼女の曲で私が最も好きな「Music for Three-Piece-Orchestra」(その記事はこちら)以来の多楽章形式の曲である「Silver Lining Suite」が印象的。

それから、昔の曲に愛着がわいてしまう私としては、弦楽四重奏による「Legend of the Purple Valley」や、チェロとピアノによる「月と太陽(Moonlight Sunshine)」が聴けたのが嬉しかった。

後者は、ちょうど上述の10年前の彼女のライヴで、矢野顕子の歌付きで聴いた曲でもあり、懐かしかった(あれも本当に名演だった)。

偶然かどうか、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番第2楽章の弦の一節に似たこの曲、しっとりとした名曲だと思う。

 

 

ツアーはまだ全国各地で行われるようであり、行ける方はぜひ。

 

 


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