今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。
好きなピアニスト、石井楓子のデビュー盤が発売された(CD)。
曲目は、ブラームスのピアノ・ソナタ第3番、ハイドンのピアノ・ソナタ第42番、ブラームスの「4つの小品」op.119である。
詳細は以下の通り。
Fuko Ishii
Brahms | Haydn
Johannes Brahms (1833–1897)
Klaviersonate Nr. 3 f-Moll op. 5
1 Allegro maestoso 8:36
2 Andante espressivo 11:55
3 Scherzo. Allegro energico 5:00
4 Intermezzo. Andante molto 3:21
5 Finale. Allegro moderato ma rubato 8:16
Joseph Haydn (1732–1809)
Klaviersonate D-Dur op. 37 Nr. 3 Hob XVI:42
6 Andante con espressione 9:18
7 Vivace assai 3:07
Johannes Brahms
Klavierstücke op. 119
8 Intermezzo. Adagio 3:41
9 Intermezzo. Andantino un poco agitato 4:57
10 Intermezzo. Grazioso e giocoso 1:43
11 Rhapsodie. Allegro risoluto 5:09
Herausgeber: Hochschule für Musik Detmold
Aufgenommen im Februar 2021 im Konzerthaus der Hochschule für Musik Detmold.
以上、デトモルト音楽大学のサイトより引用した(引用元のページはこちら)。
下記リブログ元の記事に書いた通り、彼女がデトモルトのブラームスコンクールで優勝したことによるCD製作である。
待ちに待った彼女のデビュー盤。
ブラームスのピアノ・ソナタ第3番で私の好きな録音は
●フアンチ(Pf) 2016年7月22日ニューヨークライヴ(動画)
●パク・チェヨン(Pf) 2021年5月11日モントリオールコンクールライヴ(動画) ※動画の17:45~
あたりである。
ともにロマン的な美しい演奏だが、今回の石井楓子はさらにドイツ的な味わいを持つ点で、これらにも勝る決定盤といえそう。
ドイツ的といっても力業ではなく、力強くも柔らかな、優しい眼差しのブラームスである。
そういえば、力業のほうの名演も聴いたことがあるが、それは松本和将の演奏だった(その記事はこちら)。
どうやら彼のこの曲のライヴ盤もその後発売されたらしく、そちらも入手しなければならない。
ハイドンのピアノ・ソナタ第42番で私の好きな録音は
●古海行子(Pf) 2017年8月18日ピティナ特級ライヴ(動画)
●M.コッテ(Pf) 2020年11月14日ブゾーニコンクールライヴ(動画)
あたりである。
風を切るような快速テンポ(特に第2楽章)によるこれらの演奏に比べると、今回の石井楓子はより落ち着きがある。
いずれのアプローチも美しく、甲乙つけがたい。
ブラームスの「4つの小品」op.119で私の好きな録音は
●石井楓子(Pf) 2018年4月3日リーズコンクールライヴ(動画) ※動画の7:05~
あたりである。
この曲は彼女の実演も聴いたことがあり、大変な感銘を受けたのだった(その記事はこちら)。
これらを超える演奏はないと思っていたのだが、今回の石井楓子の新録音は、なんとさらに上をいく名演となっている。
特に、クララ・シューマンのために書かれたという第1曲。
ヴァーグナーの「トリスタン」第3幕のような灰色の憂鬱に包まれたこの曲を、石井楓子はこれまで以上に遅いテンポで、一音一音細やかに、心の奥深いところまで表現していく。
ブリュートナーのピアノのいぶし銀の音色や、録音の音質の良さも相まって、これ以上の同曲演奏はちょっと考えられない。
なお、CDを入手するには、デトモルト音楽大学にメールして注文する必要がある。
簡単な英語で丁寧に応対してくれるので助かった。
→ 注文はこちらから
https://www.hfm-detmold.de/presseaktuelles/cd-shop/
Fuko Ishii - J. Brahms: Klaviersonate Nr. 3 f-Moll op. 5 (Album Trailer) - YouTube
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