(クレア・フアンチの演奏動画 ベートーヴェン パデレフスキ チャイコフスキー グルダ) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想でなく、別の話題を。

好きなピアニスト、クレア・フアンチの新しい演奏動画がアップされた。

動画はこちら。

 

 

 

 

 

2018年6月 ゲザ・アンダ国際ピアノコンクール (チューリヒ)

クリスティアン・ツァハリアス(指揮)、チューリヒ・トーンハレ管弦楽団

 

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 op.58

 

 

 

 

 

2020年12月9日 パーダーハレ (ドイツ、パーダーボルン)

イヴ・アーベル(指揮)、北西ドイツ・フィルハーモニー管弦楽団

 

パデレフスキ:ピアノ協奏曲 イ短調 op.17

(2:40- 第1楽章、18:00- 第2楽章、27:34- 第3楽章)

ビゼー:交響曲 ハ長調

(35:50- 第1楽章、45:55- 第2楽章、55:30- 第3楽章、1:01:19- 第4楽章)

 

 

 

 

 

2020年12月10日

 

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調 op.53 「ヴァルトシュタイン」 (0:07-)

ベートーヴェン/リスト:交響曲 第6番 ヘ長調 op.68 「田園」 より 第5楽章 (20:55-)

チャイコフスキー/プレトニョフ:組曲「くるみ割り人形」 より 第2曲 「金平糖の精の踊り」 (30:08-)

チャイコフスキー/プレトニョフ:組曲「くるみ割り人形」 より 第7曲 「アンダンテ・マエストーゾ」 (32:00-)

グルダ:トッカータ (36:59-)

 

 

 

 

 

いずれも素晴らしい。

上の3つの動画のうち最初のものは、2018年ゲザ・アンダ国際ピアノコンクール優勝時のファイナルで弾いたベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番である(その記事はこちら)。

この曲の録音では、私は

 

●W.ケンプ(Pf) ケンペン指揮 ベルリン・ドイツ・オペラ管 1941年4月セッション盤(NMLApple MusicCD

●アンスネス(Pf、指揮) マーラー・チェンバー・オーケストラ 2013年11月セッション盤(Apple MusicCD

●藤田真央(Pf) ゲルギエフ指揮 ミュンヘン・フィル 2020年12月4日ミュンヘンライヴ(その記事はこちら

 

あたりが好きなのだが、今回のフアンチもこれらにかなり迫る出来だと思う(セッション録音で撮り直したら、これらに並ぶ完成度が望めるだろう)。

整然としたアンスネスと、ロマン的な藤田真央の、ちょうど間くらいの解釈。

印象深かった箇所の一つが、第1楽章カデンツァの終わりの、きらめくような右手のパッセージ(動画の19:04あたりから)。

ここで朝もやのような最弱音を奏でる藤田真央とは違い、フアンチの音にはよりくっきりとした輝きがあって、甲乙つけがたい。

 

 

 

 

 

上の3つの動画のうち真ん中のものは、彼女自身のセッション録音もあるパデレフスキのピアノ協奏曲(その記事はこちら)。

セッション盤のほうが音はくっきりしているけれど、今回のライヴ動画のほうが柔らかさがあって聴きやすいかもしれない。

 

 

 

 

 

上の3つの動画のうち最後のものは、ソロリサイタル。

ベートーヴェンの「ヴァルトシュタイン」ソナタで私の好きな録音は

 

●F.グルダ(Pf) 1958年9月セッション盤(NMLApple MusicCD

●佐藤卓史(Pf) 2013年7月10-12日セッション盤(CD

 

あたりである(奇しくも共にウィーンでの録音)。

今回のフアンチも特有の疾走感、スイングのようなものがあって、これらの名盤に迫る出来(ベートーヴェンらしさという点では一歩譲るが)。

 

 

ベートーヴェン/リストの「田園」交響曲(ピアノ版)は、まだ好きな録音を見つけていないが、今回のフアンチの終楽章の演奏は、グールドよりもカツァリスよりもシチェルバコフよりも美しい名演だと思う。

この世紀の名旋律で心から感動させてくれたのは、原曲でもカラヤンとアバドくらいのものだったが、ピアノ版ではフアンチが初めてである。

 

 

チャイコフスキー/プレトニョフの「くるみ割り人形」で私の好きな録音は

 

●ウラシン(Pf) 1999年セッション盤(Apple Music

●ウラシン(Pf) 2004年シドニーコンクールライヴ盤(NMLApple Music

●フアンチ(Pf) 2009年ニューヨークライヴ(動画1動画2

●トカレフ(Pf) 2011年4-5月セッション盤(Apple MusicCD

●ウルマン(Pf) 2018年7月4-6日セッション盤(NMLApple MusicCD

 

あたりである。

今回のフアンチの演奏は全曲でなく抜粋なのが惜しいが、上の2009年全曲ライヴ動画よりも音質が良いのは嬉しい限り。

特にアンダンテ・マエストーゾは、ロマン的な味わいやクライマックスの華麗さにおいて、彼女の右に出る者はないと私は考えている。

 

 

最後のグルダの「トッカータ」は、2019年に彼女のリサイタルのアンコールで聴いて知った曲(その記事はこちら)。

カプースチンなどもそうだが、こういうジャジーな曲は彼女にぴったりだと思う。

 

 

 

 

 

なお、前回の演奏動画もぜひ(下記リブログ元の記事)。

 

 

 

 


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