(ロトの新譜 サン=サーンス 「銀の鈴」) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

1971年パリ生まれの指揮者、フランソワ=グザヴィエ・ロトはいま相当人気があるようで、新譜が続々と発売されている。

今年(2020年)だけに限ってみても、ムソルグスキーの「展覧会の絵」、フランスの現代作曲家マルク・モネの協奏作品、シューマンの交響曲第1、4番、そしてベートーヴェンの「運命」交響曲とたくさんのCDが発売されており、そのほかにドビュッシーの管弦楽組曲第1番やマスネの「ル・シッド」組曲の映像販売まである。

 

 

そんなロトだが、私は以前の記事にも書いたように(その記事はこちら)、彼の演奏にすっかり魅了されたという経験がまだない。

今回も上記の新譜を中心に色々聴いてみたが、もちろんいずれも良い演奏であり、悪くない。

ただ、「展覧会の絵」はカンブルランほどの響きへのこだわりを感じず、シューマンは(第1番終楽章など)ネゼ=セガンほどの洗練やスマートさを感じず、「運命」交響曲はクルレンツィスほどのインパクトや推進力を感じない。

贅沢な話だが、何となく「これでなくては」という決め手に欠けるのである。

 

 

しかし、そんな彼の新譜のうち、感銘を受けたものが一つあった。

サン=サーンスの歌劇「銀の鈴」である(Apple MusicCD)。

詳細は以下の通り。

 

 

 

 

 

 

サン=サーンス初めての歌劇、ロトのタクトと豪華メンバーで世界初録音!

サン=サーンスが1865年に初めて書いた歌劇『銀の鈴』は、紆余曲折を経て1877年2月23日にパリのオペラ・コミック座で初演されました。台本はオッフェンバックの『ホフマン物語』も手掛けた2人です。美しい魔女の愛を得るための金貨、それを手に入れるためには銀の鈴を鳴らさなけらばなりません。しかしその鈴を鳴らすたびに、周りの誰かが犠牲になっていきます。最初はコンラッドの義理の父、次は彼の親友の一人・・・そんな悪夢が描かれています。ここで使用されているのは1914年の最終版で、作曲から50年の間、10回もの改訂が行われたと言います。
目を引くのは豪華な歌手陣で、フランス・オペラと歌曲いずれも高い評価を得ているエレーヌ・ギュメット、バロックから19世紀まで幅広いレパートリーで近年急速に人気を高めているジョディ・デヴォス、現代オペラでも活躍するエドガラス・モントヴィダス、19世紀フランスの作品を特に得意としているタシス・クリストヤニスといった面々を、ロトが手堅くまとめています。管弦楽はもちろん、19世紀以降の作品に古楽器を使ったピリオド奏法で申し分ない実績をあげてきた手兵レ・シエクル、そして合唱には少数精鋭でピリオド解釈への対応も高く評価される声楽アンサンブル「アクサンチュス」を起用。サン=サーンスのキャリア初期の知られざる大作に光を当て、その魅力を鮮烈に表現しています。フランス語のリブレットと英訳、ふんだんな資料画像を掲載した165ページにも及ぶカラーブックレット付き。(輸入元情報)

【収録情報】
● サン=サーンス:歌劇『銀の鈴』全曲 (1865)


エレーヌ…エレーヌ・ギュメット(ソプラノ)
ローザ…ジョディ・デヴォス(ソプラノ)
コンラッド…エドガラス・モントヴィダス(テノール)
ベネディクト…ユー・シャオ(テノール)
スピリディオン…タシス・クリストヤニス(バリトン)
パトリック…ジャン=イヴ・ラヴォー(テノール)
物乞い…マチュー・シャピュイ(テノール)
アクサンチュス(合唱)
レ・シエクル(管弦楽/古楽器使用)
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)

録音時期:2017年6月26,27日
録音場所:パリ・フィルハーモニー・スタジオ
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
世界初録音

 

 

 

 

 

以上、HMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。

 

 

サン=サーンスが書いた最初のオペラである。

世界初録音であり、他に比較対象がないからということもあるかもしれないが、なかなかの名演と感じた。

サン=サーンスらしい優雅さや快活さ、親しみやすさが溌剌としたテンポの中で展開していく、何とも楽しい演奏となっている。

各音の明瞭度も高く、例えるならセバスティアン・ヴァイグレの振るヴァーグナー初期オペラのような、からりとした味がある。

ロトを好きになる取っ掛かりができたような気がした。

 

 

来年(2021年)は、サン=サーンス没後100年。

これを機に、ロト&レ・シエクルによるサン=サーンスのオペラ全曲録音プロジェクトなど始動してはくれないものだろうか。

 

 

 

 


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