(松本和将の解説動画 ベートーヴェン「テンペスト」第1楽章 その1 気持ち編) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想でなく、別の話題を。

好きなピアニスト、松本和将による2020年ピティナ特級の講評について、昨日の記事に書いた(その記事はこちら)。

その彼のYouTubeチャンネルにおいて、ベートーヴェンの「テンペスト」ソナタの解説動画がアップされた。

動画はこちら。

 

 

 

 

ベートーヴェン:ピアノソナタ第17番ニ短調Op.31-2「テンペスト」第1楽章

Beethoven: Piano sonata No. 17 in d, Op. 31-2 "Tempest" 1st mov.

 

「気持ち編」「分析編」「奏法編」3本立ての

今回は「気持ち編」です。

このソナタに一体どんな気持ちが込められているのか、主観たっぷりにお届けします。

 

僕の好みの大いに入っている「気持ち編」ですが、なぜその考えに至ったかというのはちゃんとした裏付けがあります。

そのあたりを「分析編」で説明しています。

 

また「それではそういう音は一体どうやったら出るのか」という実際問題の弾き方の話を「奏法編」で説明しています。

 

 

 

 

 

以上は彼自身によるこの解説動画の説明書きである。

3本立ての動画のうち、今回は第1回目「気持ち編」とのこと。

 

 

これを観ると、ベートーヴェンというクラシック音楽でも古典派に分類されるアカデミックな作曲家の曲であっても、そしてそのベートーヴェンを大の得意とする松本和将のようなピアニストであっても、「音楽は音楽以上でも以下でもない」といった姿勢を取るのでなく、このようなストーリーを頭に思い浮かべるのだ、ということが分かる。

ピアノ・ソナタというかっちりしたジャンルでも、何も考えずにただ音符づらだけを追っていては、血の通った演奏はできないのだろう。

 

 

ただし、松本和将の思い描くストーリーは、例えば「蜜蜂と遠雷」のリストのピアノ・ソナタにおいて描かれるように具体的な細かい設定があるわけではなく、「主人公」「不安」「奈落の底」など、もっと抽象的で漠然としたイメージに基づいているようである。

設定を細かくしすぎない点が、あくまで標題音楽でない絶対音楽に対する解釈姿勢として、程よいバランスを保っているのかもしれない。

 

 

そして、彼の演奏は細切れであっても大変見事。

ベートーヴェンらしい力強さを備えながら、闇雲に突き進むことなく音楽的な流れがあり、それでいて身振りの大きな後期ロマン派的演奏にはならず、絶対音楽らしいオーソドックスさを持ち合わせている。

彼の思い描くストーリーが、演奏に適切に反映されている、ということだろう。

 

 

「分析篇」「奏法篇」も楽しみである。

 

 


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