(中川真耶加の演奏動画 シューマン ヴァイオリン・ソナタ第1番 より 第1楽章) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想でなく、別の話題を。

前回に引き続き(その記事はこちら)、好きなピアニスト、中川真耶加の新たな演奏動画について書きたい。

動画はこちら。

 

 

https://www.instagram.com/tv/CAsg42dHV22/

 

 

曲目は、シューマンのヴァイオリン・ソナタ第1番より第1楽章。

石原悠企(ヴァイオリン)との、リモートでのオンライン共演である。

 

 

この曲で私の好きな録音は

 

●セントヘイ(Vn) シフ(Pf) 1975年頃セッション盤(Apple Music

●ファウスト(Vn) アーフェンハウス(Pf) 1999年3月22-25日セッション盤(NMLApple MusicCD

●ロビヤール(Vn) クイデル(Pf) 2019年3月14-18日セッション盤(Apple MusicCD

 

あたりである。

今回の石原悠企の演奏は、派手すぎない滋味のある音が好印象。

音程もまずまず安定している。

ただ、欲を言うと、歌わせ方がやや一様なきらいがなくはない。

シューマン晩年特有のファンタジー、すなわち繊細極まりない弱音やそこはかとない哀切の表出がもっとあるとなお良かったか。

とはいえ、ホールでの演奏だったならまた違ったかもしれない。

それに、こういったことは上記の3盤においても完全に満足というところまでは行っていない(五嶋みどりやアリーナ・イブラギモヴァやユリア・フィッシャーに期待している)。

 

 

中川真耶加のピアノは、毎度ながら素晴らしい。

どの部分も良いが、特に展開部終盤から、ブラームスの交響曲第4番第1楽章のようにゆったりした再現部に至った後、すっと元のテンポに戻っていく箇所(動画でいうと2:44~3:20あたり)。

ここでの、さらりとしていながらきわめてロマンティックにたゆたうアルペッジョの美しい波、そして静寂への収め方。

テンポが戻った後のヴァイオリンの第1主題に対応するピアノ左手オクターヴの対旋律の雄弁さ、そしてヴァイオリンから引き継ぐ右手高音部の第1主題の美しい歌い口。

この一連の見事な流れは、上記3盤におけるシフやアーフェンハウスやクイデルの名演と比べても劣らぬばかりか、むしろ優るほどの出来栄えであるように思う。

 

 

この2人の共演で、ぜひ第2、3楽章の配信も期待したいところである。

 

 


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