(新型コロナウイルスは未曽有の危機 自粛解禁ムードが危険な理由) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

政府の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」の一員である、北海道大学教授の西浦博氏が、保健・医療従事者に広く読んでほしいとメッセージを寄稿したという。

 

“西浦・北大教授「助けてほしい」解禁ムードを危惧”

 

要するに、最近自粛に疲れ、もしくは飽きてしまった人たちが多いようであり、再度イベント自粛とハイリスク空間回避の重要性を伝えるべく徹底を、とのことである。

 

 

確かに、2週間程度といわれていた自粛要請が2月よりずっと続いており、みな鬱憤がたまってきている。

しかし、日本では他の先進諸国に比し感染者数・死者数が圧倒的に少なく、クラスター対策が現状うまくいきかけている。

これが緩んだら、他国のような医療崩壊が起きるだろう。

そして、最終的にどうなるか。

 

 

新型コロナウイルスと同じく飛沫感染する、インフルエンザウイルス。

インフルエンザが初めて流行したのは、1918年のことらしい(いわゆるスペイン風邪)。

初めてということで誰も免疫を持っておらず、かなりの被害が出たという。

被害状況を示した表が以下である。

 

 

(画像はこちらのページよりお借りしました)

 

インフルエンザは、1918~1921年と3年かけて大流行した。

当時の日本の人口5670万人の42.0%である2380万人が感染し、感染者の1.63%である38万9千人が亡くなった。

 

 

新型コロナウイルスがどれだけの人に感染するか、よく分からない。

クラスター対策に失敗し、ウイルスが広がって、1918~1921年のインフルエンザと同じく国民の42.0%が感染したと仮定する。

単純計算すると、現在の日本の人口1億2600万人の42.0%ということで、感染者は5290万人となる。

新型コロナウイルスの致死率は、先日紹介したまとめ記事のように(その記事はこちら)2.3%だとすると、新型コロナウイルス感染で亡くなるのは122万人。

これは、大変なことである。

さらに、感染者が一気に増えた武漢などでは致死率が5%程度に上昇したともいわれており、日本もそうなった場合、200~300万人もの死者が出てしまうかもしれない。

これは、第二次世界大戦における日本の死者数にほぼ等しい。

 

 

ちなみに、自然災害による死者数は、

1923年 関東大震災 10万5千人

1959年 伊勢湾台風 5千人

1995年 阪神・淡路大震災 6千人

2011年 東日本大震災 1万6千人

であり、死者数だけで被害は語れないものの、単純に死者数だけで比較すると桁違いである。

新型コロナウイルスは、第二次大戦以来の未曽有の危機といえる。

 

 

ただ、クラスター対策がうまくいけば、こうはならないはず。

これまで日本は、1899年~のペストや、2002-2004年のSARS、2012年~のMARSといった感染症を水際でせき止めてきた。

今回もうまくいくか、それとも上述のスペイン風邪のように大流行してしまうか。

それは、私たちにかかっている。

やるべきことは、そんなに多くはない。

手洗いに消毒。

クラスター3条件(密閉、密集、密接)の回避。

そして、症状が出たら無理せずすぐに自宅療養。

 

 

自粛の緩みのためか、日本の感染者数は、首都圏や関西圏を中心にここ数日で大きく増え始めている。

この調子でいくと、他国のような都市封鎖・外出禁止令が日本でも早晩行われるだろう。

中国では、そうした政策が奏功しつつあるとされている。

また、上述のスペイン風邪の際にも、流行早期から集会・イベントを中止したセントルイス市では、禁止が遅れたフィラデルフィア市に比し、感染ピーク時の死亡が8分の1以下に抑えられたという(詳細はこちらのページ参照)。

今後、行動制限は厳しくなることこそあれ、緩くなることは当分なさそう。

だからこそ、未曽有の悲劇を防ぐために覚悟を決め、後で悔いのないようやるべきことはやり、それ以外のことは日常を楽しみつつ、困ったことは皆でやりくりしあいながら助け合ってやっていきたいと強く願う。

 

 


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