ベン=アリ ブラウンシュタイン グロス マニンガー 東京公演 フォーレ ピアノ四重奏曲第1番ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

東京・春・音楽祭2020

ベルリン・フィルのメンバーによる室内楽

※無観客公演、ライブストリーミング配信

 

【日時】

2020年3月15日(日) 開演 16:00 (開場 15:30)

 

【会場】

東京文化会館 小ホール

 

【演奏】

ピアノ:オハッド・ベン=アリ

ヴァイオリン:ガイ・ブラウンシュタイン

ヴィオラ:アミハイ・グロス

チェロ:オラフ・マニンガー

 

【プログラム】

モーツァルト:ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 K.478

フォーレ:ピアノ四重奏曲 第1番 ハ短調 op.15

ドヴォルザーク:ピアノ四重奏曲 第2番 変ホ長調 op.87

 

 

 

 

 

下記のリブログ元の記事に書いた、クラシック音楽の無料ライヴ配信の一つ、ベルリン・フィルのメンバーによる室内楽を聴いた。

東京・春・音楽祭の一環のコンサートである。

新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、無観客公演・ストリーミング配信となった。

 

 

今回のプログラムで私の好きな録音は、まずモーツァルトのピアノ四重奏曲第1番では

 

●セル(Pf) ブダペスト四重奏団員 1946年8月18日セッション盤(NMLApple MusicCD

●クリーン(Pf) アマデウス四重奏団員 1981年セッション盤(NMLApple MusicCD

●アレクセイ・メルニコフ(Pf) 豊嶋泰嗣(Vn) 磯村和英(Va) 上村昇(Vc) 2015年12月1日浜コンライヴ盤(CD)

●三浦謙司(Pf) 漆原啓子(Vn) 鈴木康浩(Va) 向山佳絵子(Vc) 2015年12月1日浜コンライヴ盤(CD)

●牛田智大(Pf) 川久保賜紀(Vn) 松実健太(Va) 長谷川陽子(Vc) 2018年11月19日浜コンライヴ盤(CD)

 

フォーレのピアノ四重奏曲第1番では

 

●ル・サージュ(Pf) 樫本大進(Vn) ベルトー(Va) サルク(Vc) 2011年3月セッション盤(NMLApple MusicCD

●マリアーニ・ピアノ四重奏団 2016年8月16-20日セッション盤(NMLApple Music

 

ドヴォルザークのピアノ四重奏曲第2番では

 

●バルサム(Pf) リバール(Vn) クロマー(Va) トゥシャ(Vc) 1940-50年代セッション盤(NMLApple MusicCD

●エイムズ・ピアノ四重奏団 1989年1月セッション盤(NMLApple MusicCD

●リリック・ピアノ四重奏団 2007年頃?セッション盤(NMLApple MusicCD

 

あたりである。

 

 

今回のベン=アリとベルリン・フィルのメンバーたちによる演奏は、これらの名盤と比較してもそれほど引けを取らない、さすがにハイレベルなものだった。

概して遅めのテンポでまったりと進められるのだが、懐古的なスタイルというわけではなく、現代的な洗練も備えている。

特に、ヴィオラのグロスとチェロのマニンガーが良かった。

控えめだがさらりと洗練されていて、なおかつ欧風の味がふわりと感じられる。

上記の各盤のヴィオラ、チェロと同等もしくは上回る腕前だった。

 

 

ヴァイオリンのブラウンシュタインも同様の味を持つが、ヴァイオリンだけあって動きが多いためもあり、音程などやや不安定ではあった。

例えば、フォーレ。

上に挙げた2盤のうち、前者の盤のヴァイオリン担当は、ブラウンシュタインと同じくベルリン・フィルのコンマスである樫本大進だが、彼は普段ブラウンシュタインと概ね同等であるように思われるものの、この盤ではなぜかかなり調子が良い。

また、後者の盤のヴァイオリン担当は、ベルリン・フィルの第2ヴァイオリンに所属するフィリップ・ボーネンだが、彼はコンマス2人よりもむしろ洗練されているほど。

その意味では、ブラウンシュタインはやや分が悪い。

とはいえ、それほど気にならないレベルではあったし、彼らしい華もあった。

 

 

ピアノのベン=アリは、上記モーツァルトにおけるメルニコフや三浦謙司や牛田智大、あるいはフォーレにおけるル・サージュのような、とりわけ優れた名手というわけではなさそう。

それでも、ペダルを多めに使って音を響かせ、ロマンティックな美しい音楽を奏でていた。

テンポは遅めながら、横に流れてしまうことなく一貫性があり、様式感も保たれている。

室内楽奏者として必要な要素はしっかり押さえている印象を受けた。

 

 

 

 


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