今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。
最初は他のことについて書こうと思ったのだが、友人が教えてくれた演奏動画があまりに素晴らしかったので、今回はそちらを取り上げることにした。
クラウディオ・アバド指揮、ルツェルン祝祭管弦楽団による、モーツァルトのオペラ・アリアおよびコンサート・アリアの演奏動画である(歌手はチェチーリア・バルトリ)。
1. アリア「誰が知るでしょう、いとしい人の苦しみを」 K.582
2. 歌劇「ティート帝の慈悲」 K.621 より アリア「私は行きます」
4. 歌劇「フィガロの結婚」 K.492 より アリア「恋とはどんなものかしら」
バルトリももちろんうまいのだが、少しガツガツしたところがあって、私の思うモーツァルト像とは違う面もある(もしバトルかボニーかマクファデンだったならば言うことなしだったけれど、バルトリも十分良いし贅沢は言うまい)。
一方、アバドの指揮のほうは、軽やかでありながら情感豊かで、しっとりしていながらカラッとさわやか、本当にモーツァルトそのものだと思う。
そして、「ティート帝の慈悲」のアリアでは、なんとザビーネ・マイヤーがクラリネットを担当している。
これがまた、あまりにもうまい。
マイヤーとアバドには、モーツァルトのクラリネット協奏曲の決定的な名盤があるが、それを彷彿させる美しさである。
アバドは、ベルリン・フィルを振ってモーツァルト主要交響曲集を録音している。
「モーツァルトの交響曲の名演が聴きたい」という人に、私がまず第一に推す盤である。
ただ、第36番まで録音されたのだが、第38~41の4曲は録音されずに終わってしまった(モーツァルト管との録音はあるが、出来はやや落ちる)。
私たち人類にとって、何とも大きな損失である。
さらに言うと、アバドがベルリン・フィルもしくはルツェルン祝祭管を振ってモーツァルトの4大オペラを録音していたら、どれだけすごかったことだろう。
もちろん、ヨーロッパ室内管やマーラー・チェンバー・オーケストラも悪くないのだが、例えば彼がベルリン・フィルと録音したヴェルディのオペラ「ファルスタッフ」の名演に鑑みて、ついそんなことを考えてしまうのだった。
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