(イザベル・ファウストの新譜 ドビュッシー ヴァイオリン・ソナタ) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

好きなヴァイオリニスト、イザベル・ファウストの新譜が発売された。

今回の新譜の曲目は、ドビュッシーのヴァイオリン・ソナタである(Apple MusicCD)。

詳細は以下の通り。

 

 

 

 

 


ドビュッシー没後100周年記念リリース
ファウスト、ケラス、メルニコフ、メストレも参加の超豪華メンバーによるドビュッシー!


ハルモニア・ムンディがお送りするドビュッシー没後100周年記念シリーズ、「最後のソナタ集」と題し、ファウスト、ケラス、メルニコフ、メストレ、タメスティらが参加しているという注目盤の登場です!
ドビュッシーは晩年様々な楽器のための6つのソナタを作曲しようと考えていましたが、実際にはここに収録された3作を書き上げた翌年に亡くなってしまいます。この計画の最後となったのはヴァイオリン・ソナタでしたが、これはドビュッシーの文字通り最後の作品となりました。冒頭でメルニコフが奏でる繊細きわまりない和音から一気に世界に引き込まれます。ファウストの演奏は、独特のミステリアスでかわいたような空気を漂わせつつも、非常にきめこまやかな表情づけで、一音一音、休符までも聴きの逃してはならぬ、と思わせられる演奏です。
フルート、ヴィオラとハープのためのソナタについてドビュッシーは友人にあてた手紙の中で「これは私が作曲の仕方を今よりは多少知っていた頃の作品だ。何年の前のドビュッシー、そう、『夜想曲』の頃のドビュッシーのようだ」と語っています。『ビリティスの歌』や『6つの古代墓碑銘』と、古のフランスのクラヴサン音楽の典雅さが融合したようで、独特の魅力にあふれた本作を、最高のメンバーで聴けます。マガリ・モニエは2003年よりフランス放送フィルハーモニー管弦楽団の首席フルート奏者を務め、2004年のミュンヘン国際音楽コンクールで優勝した名手。ハルモニア・ムンディでは初登場となります。彼女が演奏しているルイ・ロット(ルイ・ロット/1855年に工房を立ち上げ1951年まで存在していたオールド・フルートの代表格)のフルートは、ジョゼフ・ランパル[1895-1983]そしてその息子ジャン=ピエール・ランパル[1922-2002]らが演奏していたもの、また、ハープはレ・シエクルも用いている楽器で、まさにドビュッシーの頃の音色で楽しむことができるという意味でも貴重な演奏となっております。
最後の3つのソナタの中では最初に完成したチェロ・ソナタ。ここではケラスと、スペインのペリアネスという顔合わせによる演奏でお聴き頂きます。作品の世界に一歩踏み込んだ、繊細な色彩の描き分けが見事。より細やかな表情づけがなされており、絶妙な間合いの中にも「あそび」が感じられる演奏となっております。なお、ケラスは2008年にアレクサンドル・タローとドビュッシーのチェロ・ソナタを録音しておりますが、そちらはシャープさが際だった演奏で、10年の時を経ての変化にも感じ入る演奏となっております。
ピアノ独奏作品もすべて晩年のもの。奏でるのはタンギ・ド・ヴィリアンクール。フランスでは若くして名手としてソロに室内楽にバリバリと活躍、リストのような超絶技巧はもとより、古典から現代ものまで完璧に弾きこなすテクニックは圧巻です。
ドビュッシーの晩年の作品世界の多様性に、名手たちのきめこまかな演奏によってあらためて感じ入る1枚となっております。(輸入元情報)
 

【収録情報】
ドビュッシー:
1. ヴァイオリン・ソナタ ト短調 (1917)

イザベル・ファウスト(ヴァイオリン/ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」)
アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)

2. 英雄の子守歌 - ベルギー国王アルベール1世陛下とその兵士たちをたたえて (1914)
3. アルバムのページ(負傷者の服のための小品) (1915)

タンギ・ド・ヴィリアンクール(ピアノ)

4. フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ ヘ長調 (1915)
マガリ・モニエ(フルート/1880年、ルイ・ロット、製造番号2862/調整:ベルナール・デュプラ)
アントワーヌ・タメスティ(ヴィオラ/ストラディヴァリウス「マーラー」、1672年製)
グザヴィエ・ド・メストレ(ハープ/エラール社製、19世紀末のルイ16世スタイル/調整:レ・シエクル)

5. エレジー (1915)
タンギ・ド・ヴィリアンクール(ピアノ)

6. チェロ・ソナタ ニ短調 (1915)
ジャン=ギアン・ケラス(チェロ)
ハヴィエル・ペリアネス(ピアノ)

7. 燃える炭火に照らされた夕べ (1917)
タンギ・ド・ヴィリアンクール(ピアノ)
 

録音時期:2016年12月、2017年12月、2018年1-2月(1-3,5-7) 2017年6月(4)
録音場所:ベルリン、テルデックス・スタジオ(1-3,5-7) パリ、シテ・ド・ラ・ミュジーク(4)
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
 

 

 

 

 

 

以上、HMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。

 

 

ドビュッシー最後の作品である、ヴァイオリン・ソナタ。

その録音としては、五嶋みどり/マクドナルド盤の完成度が抜群に高く、孤高の名盤となっている。

その後に出たイブラギモヴァ/フォークト盤は、彼女には珍しくやや粗さがみられる(もちろん凡百の演奏よりはずっと良いのだが)。

それもあって今回のファウスト/メルニコフ盤に注目していたのだが、聴いてみると期待に違わぬ出来だった。

全体的にまったりしたテンポであり、キレには欠けるかもしれないが、そのぶん細部まで丁寧な仕上がりになっている。

ファウストならではの、明るくさわやかな音色も心地よい。

五嶋みどり盤に匹敵する名演、と言ってもいいように思う。

ドビュッシー最晩年の、繊細で感じやすい心を聴くなら五嶋みどり盤、伸びやかでくつろいだ心を聴くならファウスト盤、といったところか。

 

 

また、このCDにはヴァイオリン・ソナタのほかにも、ドビュッシーの晩年の作品が集められている。

その一つが、ケラス/ペリアネスによるチェロ・ソナタ。

この曲の録音としては、コッペイ/ル・サージュ盤(ピアノがあまりにもうまい)、ヴィーラント&ピート・クイケン盤(古楽器奏者らしいまったりした味わい)、ケラス自身の旧盤(ピアノはタロー)あたりが私は好きである。

今回のケラス新盤も、これらに並ぶ名演だと思う。

何といってもケラスのうまさは格別であり、旧盤での洗練された表現は、今回の新盤でも健在である。

旧盤でピアノを担当したタローは、ドビュッシーにしてはタッチがやや重すぎるような気が私にはするのだが、新盤でのピアノ奏者ペリアネスはより軽やかである。

音質面でも向上がみられており、総合的に旧盤を超えたと言ってよさそう。

 

 

ヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタと並ぶドビュッシー晩年の傑作、「フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ」もこのCDには収録されている。

フルートはマガリ・モニエ、ヴィオラはアントワーヌ・タメスティ、ハープはグザヴィエ・ド・メストレである。

こちらも、私の好きなクイケン兄弟/アランク盤や、パユ/コセ/ラングラメ盤ほどのぱっとした華はないにしても、丁寧に作り込まれた演奏であり、音質も良く、総合的には匹敵すると感じた。

 

 


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