多川響子 馬渕清香 上森祥平 京都公演 ショパン ピアノ三重奏曲 フランク ピアノ三重奏曲第1番 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

「ショパン&フランク」

 

【日時】

2018年6月23日(土) 開演 20:00 (開場 19:30)

 

【会場】

カフェ・モンタージュ (京都)

 

【演奏】

ヴァイオリン:馬渕清香

チェロ:上森祥平

ピアノ:多川響子

 

【プログラム】

ショパン:ピアノ三重奏曲 ト短調 作品8 (1828)

フランク:ピアノ三重奏曲 嬰ヘ短調 作品1-1 (1840)

 

 

 

 

 

カフェ・モンタージュのコンサートを聴きに行った。

ショパンとフランクがそれぞれ18~19歳頃に書いた珍しいピアノ・トリオを、並べて演奏するという乙な試み。

ショパンのピアノ・トリオはこれ一曲だけ、フランクのほうは同時期に全部で4曲書いているようだけれど、二人ともそれ以降、20歳を過ぎるともうピアノ・トリオを一曲も書かなかったという。

彼らにとって、ピアノ・トリオが意味したものは何だったのだろうか。

「青春」?

そして、ショパンはチェロ・ソナタ、フランクはヴァイオリン・ソナタと、それぞれ室内楽ソナタ屈指の名作を彼らの晩年、死の3~4年前に作曲することになる。

不思議な共通点である。

 

 

ショパンのピアノ・トリオは、若書きながらまとまりが良く完成度の高い、またショパンらしい情感もすでに十分に表れ出た、好きな曲の一つ。

まだこれぞといった決定的な名演には巡り合っていないが、オボーリン/オイストラフ/クヌシェヴィツキー盤や、アックス/フランク/ヨーヨー・マ盤あたりが比較的好きではある。

実演を聴くのは今回が初めてだが、やっぱり若くてもショパンはショパンで、ピアノ・パートが見るからに難しそうである。

第1楽章展開部やコーダにおけるピアノの速いパッセージ、これらは大変盛り上がる箇所だけれど、やや不安定・不明瞭になってしまっていた。

第2楽章や終楽章もかなり速めのテンポだったが、どうもいまいち安定せず、縦の線がときどき危うくなっていた。

緩徐な第3楽章は落ち着いて聴くことができたけれど。

あるいは、十分な準備ができなかったということもあったのかもしれない。

まぁ、そういう日もあろう。

なお、ヴァイオリンの馬渕清香は音程など怪しいときはあるが不安定というほどではなく、やや野太い感じのヴィオラのような味わいのある音だったし、チェロの上森祥平はなかなかな安定感があって、演奏全体を低音部から支えていた。

 

 

フランクのピアノ・トリオを聴いたのは、録音も含めおそらく今回が初めて。

やっぱり若くてもフランクはフランクで、後年の彼の作品群で聴かれるどんよりとした重苦しい作風が、この「ピアノ・トリオ 作品1-1」においてもすでに曲全体を支配している。

かなり重量級の曲で、当時流行していたであろうサロン風の軽やかさや華やかさが微塵も感じられないのには恐れ入ってしまう。

ショパンにせよフランクにせよ、大作曲家というものは10歳代の頃からすでに個性が確立していて、その後年月を経るにつれ円熟こそすれ、個性がぶれることはないのだなぁ、と妙に感心させられる演奏会だった。

 

 


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