読売日本交響楽団 第206回日曜マチネー カンブルラン ベートーヴェン 交響曲第7番 ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

読売日本交響楽団

第206回日曜マチネーシリーズ

 

【日時】

2018年4月8日(日) 開演 14:00

 

【会場】

東京芸術劇場

 

【演奏】
指揮:シルヴァン・カンブルラン
ヴァイオリン:佐藤俊介 *

管弦楽:読売日本交響楽団

(コンサートマスター:長原幸太)

 

【プログラム】

ラモー:歌劇「ダルダニュス」組曲から

 第1組曲第1曲 アントレ

 第1組曲第2曲 タンブーラン

 第1組曲第3曲 エール・グラーヴ

 第1組曲第4曲 エール・ヴィフ

 第2組曲第1曲 アントレ

 第2組曲第2曲 ロンドー・デュ・ソメイユ

 第2組曲第3曲 ガヴォット・グラシユーズ

 第2組曲第4曲 リゴードン

 第1組曲第5曲 ロンドー・ゲ
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219 「トルコ風」 *
ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 作品92

 

※アンコール(ソリスト) *

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006 より 第3曲 ガヴォット

 

 

 

 

 

読響の日曜マチネーコンサートを聴きに行った。

好きな指揮者、シルヴァン・カンブルランによる演奏である。

ラモーの歌劇「ダルダニュス」組曲というのはおそらく今回初めて聴いたけれど、バロック音楽らしいのどかでさわやかな佳曲で、特に「タンブーラン」での打楽器と木管楽器の楽しいコラボレーションが印象的だった(なお、ラモーの有名な「タンブーラン」とは別の曲)。

 

 

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番も、カンブルランらしい清々しさがよく出ていた。

ソリストの佐藤俊介も、ヴィブラート少なめのすっきりした伸びやかな音が好印象。

ただ、音程がときに不安定なのと、ピリオド奏法らしい個性的なテンポの伸縮のためか、オケと完全に一体となるというよりはおそるおそる合わせるような感じになっていたのが、残念ではあった。

その分、アンコールのバッハでは気兼ねなくやりたい放題やれて、かつ音程もコンチェルトのときより安定しており、良かった。

 

 

後半は、ベートーヴェンの交響曲第7番。

この曲では、以前にも書いたように(そのときの記事はこちら)、フルトヴェングラー、トスカニーニ、カラヤン、C.クライバーらによる熱狂的な演奏が私は好きなのだが、それと同時に彼らほどは暑苦しくない、ナガノのような明晰でさわやかな演奏も好みである。

今回のカンブルラン&読響による演奏も、どちらかというとナガノのほうに近い解釈だった。

カンブルランにしてはいつになく快速テンポだけれど、それでも推進力だけでなく、各楽器の響きの調和も重視されている。

例えば、第1楽章の主要主題はフルートが奏するのだが、これがきわめて朗々と美しく、透明感をもって響いてくる。

この主題は、後楽節ではフルートとオーボエとのユニゾンになるのだが、ここでどうもいまいち響かなくなる演奏が多い中、カンブルランはユニゾンになってもフルートの透明感を損なうことなく響かせていた。

こうしたところは、彼の真骨頂といえるだろう。

また、終楽章はとりわけ速いテンポだったけれど、それでも崩れてしまうことなく整っているし、コーダでは今まであまり気に留めていなかったようなトランペットによる裏拍のアクセントの強調がよく利いているなど、勢いだけでは終わらせないところがカンブルランらしい。

「リズム感」が主役であるこの交響曲第7番は、カンブルランがその持ち味を最も発揮しやすい曲ではなかったかもしれないが、それでも彼らしさの良く出た名演だったように思う。

 

 


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