今回は演奏会の感想でなく、別の話題を。
好きな指揮者、ヤニク・ネゼ=セガンの新譜が、最近発売された。
曲目は、ちょうど先日のテミルカーノフ&読響の演奏会で聴いた、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲(演奏会の記事はこちら)。
ということで、ついでというわけではないけれど、今回その新譜をご紹介したい(Apple Music/CD)。
ソリストは、ジョージア(グルジア)出身の名ヴァイオリニスト、リサ・バティアシュヴィリ。
詳細は下記を参照されたい。
プロコフィエフ没後65年!
二人のトップ・アーティストが
研ぎ澄まされた感性で奏でる
最高のプロコフィエフ!
1979年グルジア生まれの美人ヴァイオリニスト、リサ・バティアシュヴィリのDG5作目。今回の豪華共演はメトロポリタン歌劇場音楽監督に指名されオペラにオーケストラにひっぱりだこのネゼ=セガンと、柔軟で瑞々しい音楽が魅力のヨーロッパ室内管弦楽団。
リサの非凡な解釈とテクニックによって、新たな魅力を引き出されるプロコフィエフの2曲の協奏曲。他に、プロコフィエフのバレエやオペラからの有名な曲を収録。アルバムに親しみ易さを添えています。ヴァイオリンとオーケストラのための編曲は、リサの父、タマーシュ・バティアシュヴィリが担当。(輸入元情報)
【収録情報】
プロコフィエフ:
1. 騎士たちの踊り(『ロメオとジュリエット』から)
2. ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調 op.19
3. グラン・ワルツ(『シンデレラ』から)
4. ヴァイオリン協奏曲第2番ト短調 op.63
5. 行進曲(『3つのオレンジへの恋』から)
ヴァイオリンとオーケストラのための編曲:タマーシュ・バティアシュヴィリ(1,3,5)
リサ・バティアシュヴィリ(ヴァイオリン)
ヨーロッパ室内管弦楽団
ヤニク・ネゼ=セガン(指揮)
録音時期:2015年7月(2)、2017年2月(1,3,4,5)
録音場所:バーデン=バーデン(2)、トゥールーズ(1,3,4,5)
録音方式:ステレオ(デジタル)
なお、上記はHMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。
バティアシュヴィリは、私の好きなヴァイオリニストである五嶋みどり、アリーナ・イブラギモヴァ、ユリア・フィッシャーらに比べ、より濃厚な音をもつ。
また、しばしば野性的ともいえるような激しさで、音楽をぐいっと力強く持っていくようなところがある。
ヴァイオリン演奏に関しては、私はすっきりした細身の音と、細部の表現の室内楽的な精緻さを重視するたちであり、上記のような彼女の特徴は必ずしも好みでない。
しかし、これは彼女の演奏技術が不足している、ということを意味しない。
ハイフェッツと同様、彼女は自身の音楽解釈において必要なだけの技術や精緻さを十分に備えているのであって、演奏が荒々しいといっても技術的に粗いわけではない。
彼女の演奏の完成度の高いことにかけては、上記3人にも劣らないと思う。
今回のプロコフィエフの協奏曲についても、同じことがいえる。
音程などきわめて正確だし、ヴィブラートのかけ方も音ごとにムラがなくしっかりコントロールされている。
そして、今回のプロコフィエフでは、彼女のワイルドな点はやや影を潜め、細部の丁寧さが増しているように感じられ、それもまた私の好みに合う。
ただ、そのぶん少し中庸な演奏になってしまったきらいはあって、五嶋みどりほどの、息の詰まるような張りつめた緊迫感を感じるかというと、そうではないけれど。
こうした贅沢なことを言わなければ、かなり良い演奏だと思う。
ネゼ=セガンの指揮は、いつもながら大変に繊細である。
一見何もしていないような自然な演奏だが、細部の楽器法の面白さを表現しつくすことへのこだわりは、真逆のタイプのようなエキセントリックな指揮者、テオドール・クルレンツィスに比べても、全くひけをとらない。
全体に、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲のCDの中でも、とりわけ出来の良いものの一つといえるのではないだろうか。
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