大阪フィルハーモニー交響楽団 第513回定期 尾高忠明 モーツァルト 交響曲第39、40、41番 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

大阪フィルハーモニー交響楽団

第513回定期演奏会 

 

【日時】
2017年11月22日(水) 開演 19:00 (開場 18:00)

 

【会場】

フェスティバルホール (大阪)

 

【演奏】
指揮:尾高忠明

管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団

(コンサートマスター:崔文洙)

 

【プログラム】
モーツァルト:交響曲 第39番 変ホ長調 K.543
モーツァルト:交響曲 第40番 ト短調 K.550
モーツァルト:交響曲 第41番 ハ長調 K.551 「ジュピター」

 

 

 

 

 

大フィルの定期演奏会を聴きに行った。

今回は、大フィルのミュージック・アドヴァイザー尾高忠明の振る、モーツァルトの後期三大交響曲(第39~41番)の演奏会である。

彼の演奏は、今年の春にR.シュトラウスの「英雄の生涯」を振るのを聴いた(そのときの記事はこちら)。

そのときは、キレッキレな現代風のスマートな演奏というよりは、むしろ少し前の時代を思わせるような、やや分厚めの音が聴かれた。

今回のモーツァルトでも、やはり同様だった。

ただ、テンポは割と速めで、最近の古楽器団体に比べても大差ないのではと思われるほど。

そのあたりの、音の質とテンポの間の微妙な様式の「ずれ」が特徴的な演奏で、なかなか面白かった。

 

 

ただ、私はおそらくモーツァルトについては(あとベートーヴェンも)、とりわけわがままな聴き手になってしまっている。

モーツァルトのシンフォニーといえば、私は何といってもまず、アバド指揮ベルリン・フィルの一連の録音を思い浮かべる。

アバドとベルリン・フィル、このコンビで録音されたモーツァルトの交響曲としては、第25番、28番、29番、31番(パリ)、35番(ハフナー)、36番(リンツ)、また交響曲ではないが、クラリネット協奏曲、フルート協奏曲第1番、2番、フルートとハープのための協奏曲、協奏交響曲などがある。

これらは、繊細さ、緻密さ、快活さ、そしてヨーロッパ風の優雅さといった、モーツァルト演奏にとって望ましいあらゆる要素を備えた、私の理想に近い名演となっている。

アバドとベルリン・フィルの黄金コンビで、ぜひ第39~41番も録音してほしかった!

アバドとモーツァルト管(NML12Apple Music12)、あるいはラトルとベルリン・フィル(Apple Music)による録音はあるのだが、もちろん素晴らしいものの、それぞれあと一歩ずつ物足りないのだった。

というわけで、「これしかない!」というほどの第39~41番の録音にはまだ出会っていない。

現時点で好きな録音としては、

 

●モーツァルト 交響曲第39番 ワルター指揮BBC響 1934年セッション盤(CD

●モーツァルト 交響曲第40番 ワルター指揮ベルリン国立歌劇場管 1929年セッション盤(CD

●モーツァルト 交響曲第41番 「ジュピター」 ナガノ指揮ベルリン・ドイツ響 2006年ベルリンライヴ盤(DVD

 

あたりである。

上2つは旧式の演奏スタイルで、音質も古いが、ワルターならではの「優しさ」「温かみ」がこれらの曲の魅力を表現しつくしている。

一番下の「ジュピター」は、ナガノらしい清涼感にあふれたクリアな演奏で、終楽章のフガートがとりわけさわやかで美しい。

ワルターとナガノ。

時代も個性も全く違えど、共に曲の「勘所」をしっかり押さえた名演となっている。

今回の尾高忠明の演奏にも、音の質は厚めでやや旧式だとか、テンポはサクサクして現代風だとか、そういった様式感を越えたところでの何らかの踏み込みがあると良かった。

速いパッセージや軽やかな装飾音などが、とりわけパキッと明瞭にクリアに奏されたかというとそうではなく、やや曖昧になっていたし、そのぶん隅々まで歌心にあふれた、とりわけエモーショナルな演奏だったかというと、そういうわけでもなかった。

モーツァルトの「勘所」というのは大変難しいし、贅沢にすぎる要望かもしれないけれど。

 

 


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