日本センチュリー交響楽団
第221回定期演奏会
【日時】
2017年11月17日(金) 開演 19:00
【会場】
ザ・シンフォニーホール (大阪)
【演奏】
指揮:デイヴィッド・アサートン
ヴァイオリン:郷古廉 *
ハープ:髙野麗音 *
管弦楽:日本センチュリー交響楽団
(コンサートマスター:荒井英治)
【プログラム】
メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」 作品26
ブルッフ:スコットランド幻想曲 作品46 *
ディーリアス:劇付随音楽「ハッサン」より間奏曲、セレナーデ
エルガー:創作主題による変奏曲「エニグマ」 作品36
※アンコール(ソリスト)
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ハ長調 BWV1005 より 第3楽章 ラルゴ
センチュリー響の定期演奏会を聴きに行った。
全て英国に関連する曲目である。
前半の2曲はドイツ人の書いたスコットランド関連の曲。
後半の2曲はイングランドの作曲家の曲。
最初の曲は、メンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」。
この曲の録音では、私は
●フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル 1949年2月15日セッション盤(NML/Apple Music)
が好きで、メンデルスゾーンにしては重厚に過ぎるとは思いながらも、このウィーン・フィルの美しい弦やクラリネットの音色にどうしても魅せられてしまう(このあまりにもまろやかなクラリネットを吹いているのは、レオポルト・ヴラッハだろうか?)。
なお、フルトヴェングラーにはベルリン・フィルとの旧盤もあり、若々しい激しさがあってそちらも良い。
今回のアサートンの演奏は、フルトヴェングラーほどではないけれど、じっくりとしたテンポによる意外と重厚なアプローチで、なかなか良かった。
次の曲は、ブルッフのスコットランド幻想曲。
この曲で私の好きな録音は
●ダヴィッド・オイストラフ (Vn) ホーレンシュタイン指揮ロンドン響 1962年9月セッション盤(NML/Apple Music)
●五嶋みどり (Vn) ナタリー・タール・グレイザー(Hp) メータ指揮イスラエル・フィル 1993年7月セッション盤(Apple Music)
あたりである。
五嶋みどり盤は、まさに針の穴を通すような緻密なコントロールが聴かれる、決定的な演奏。
オイストラフ盤は、より分厚い音であり、コントロールも五嶋みどりほどではなく、テンポもどっしりとしていて、スタイルとしてはやや古い。
本来私の好みのアプローチとは離れるが、それでもこのふくよかでいながらヴィヴィッドでもある美しい音は、他の巨匠たちからさえなかなか聴かれない特別なものだと思う。
今回のコンサートでは、郷古廉による演奏だった。
彼の演奏を聴くのは初めて。
たっぷりとしたヴィブラートのかかった豊かな音による(オイストラフほど分厚くはないが)、情熱的な演奏だった。
音程など甘い箇所もあり、五嶋みどりの繊細さが時折懐かしくなったけれど(冒頭の長い一音目もそう)、全体的にはなかなかの演奏だと感じた。
アンコールのバッハは、文句なしに素晴らしかった。
音のふくよかさは前曲と同程度だけれど、音程やデュナーミクなどのコントロールは前曲以上で、ほとんど完璧といってよかった。
昨年6月に聴いたヒラリー・ハーンの同曲演奏(そのときの記事はこちら)によく似ていると思った。
このバッハは、世界でもトップクラスといっていいのではないだろうか。
後半最初の曲は、ディーリアスの「ハッサン」からの音楽。
私はあまりこの曲になじみがないので、確かなことは書けない。
ゆったりしたテンポによるさわやかな演奏、といった印象。
最後の曲は、エルガーの「エニグマ」演奏曲。
この曲で私の好きな録音は
●コリン・デイヴィス指揮ロンドン響 2007年1月6、7日ロンドンライヴ盤(NML/Apple Music)
あたりである。
繊細でありながらも、細部の表現をとことんまで極めるというよりは、むしろどこか節度を保ったような演奏であり、「紳士の国」英国の音楽における私のイメージにぴったり合う。
今回のアサートンの演奏は、デイヴィス盤ほどの完成度はないものの、アプローチとしては共通したところがあり、嬉しく聴いた。
やはり、同じ英国出身というところが大きいのだろうか。
有名な「ニムロッド」の静かな祈りのような弱音も、十分に美しかったように思う。
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