(石井楓子、務川慧悟、内匠慧のピアノ演奏動画) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

先日、ロームミュージックファンデーションのスカラシップコンサートを聴きに行ったことは、すでに書いた(そのときの記事はこちら)。

そのコンサートで特に気に入ったのが、石井楓子、務川慧悟、内匠慧の3人のピアニストである。

何か彼らの演奏動画がネット上にアップされていないかどうか探してみたところ、いくつかあったので、聴いてみた(一部、音声のみの動画もある)。

 

 

まずは、石井楓子演奏の、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第30番。

 

 

大変素晴らしい演奏である。

私はこの曲の録音では、

 

●ヴィルヘルム・ケンプ 1936年セッション盤(NML

●リード希亜奈 2015年浜コンライヴ盤(CD)

 

あたりが好きなのだが、素直な感じのアプローチであるリード希亜奈に比べ、石井楓子の場合は緩急や強弱の変化がより細かくつけられ、濃いめの表現になっている。

それでいて、わざとらしいというところにまでは至っておらず、絶妙なバランスが見事である。

ベートーヴェンの後期ソナタにふさわしい成熟した表現であるように思われ、私の中でリード希亜奈盤を僅差ながら超えたと言っても過言ではないかもしれない(もちろん、この曲に限っての私の好みの話であり、ピアニストとしての優劣の話ではない)。

 

また、同じく石井楓子演奏の、シューマンの「ダヴィッド同盟舞曲集」からの抜粋。

 

 

これまた美しい演奏である。

本当に語り口のうまいピアニスト。

動画のページには「Schumann : Davidsbündlertänze Op.6 No.14 - No.18」と記載されているが、どうやら第14~17曲しか収録されていなさそうである。

せめて第18曲は入れてほしかった!

ベートーヴェンのディアベリ変奏曲の最終変奏にも通ずるようなこのワルツ、一見何の変哲もないようでいて、実はかなり繊細な美しさを秘めている、この第18曲。

彼女ならどのように弾くか、ぜひ聴いてみたかった。

 

 

次に、務川慧悟。

彼の動画はほとんど見つけられなかったが、プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」のフルート編曲版をピアノ伴奏したものがあった。

 

 

伴奏なので聴かせどころが少ないが、それでもところどころ聴かれる大変さわやかで美しいピアノには、はっとさせられる。

よほどのセンスがなければ、こういった伴奏曲で聴き手を惹きつけることはできないだろう。

 

 

最後に、内匠慧演奏の、ラフマニノフの「音の絵」op.39からの抜粋。

 

 

これも素晴らしい。

先日のコンサートでも感じたことだが、彼の演奏には、ダークな雰囲気がよく出ている(注:ほめてます)。

ダークと言っても、重苦しいわけでは決してない。

エッジのよく利いた、シャープでキレのあるダークさである。

一言で言うと、「かっこいい」演奏。

先ほどの務川慧悟を陽とすると、内匠慧は陰といったところか。

いずれ劣らぬ素晴らしさである。

 

 

彼ら3人のコンサートには、これからもできるだけ聴きに行きたい。

務川慧悟は、今月19日に早速神戸でコンサートがあるようだが、用事で行けないのが残念。

けれど、また聴く機会はあるだろう。

彼らには、今後もどしどし活躍してほしいものである。

 

 


音楽(クラシック) ブログランキングへ

↑ ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、クリックお願いいたします。