関西フィルハーモニー管弦楽団
第285回 定期演奏会
【日時】
2017年7月5日(水) 開演 19:00 (開場 18:00)
【会場】
ザ・シンフォニーホール (大阪)
【演奏】
指揮:ディエゴ・マルティン・エチェバリア
ホルン:シュテファン・ドール
管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団
【プログラム】
モーツァルト:ホルン協奏曲第3番 変ホ長調 K.447
R.シュトラウス:ホルン協奏曲第2番 変ホ長調
シューマン:交響曲第2番 ハ長調 作品61
※アンコール(ソリスト)
メシアン:「峡谷から星たちへ」 より 第6曲「恒星の呼び声」
関西フィルの定期演奏会を聴きに行った。
指揮は、エチェバリア。
東京国際音楽コンクールで優勝した人らしい(私はコンサートを聴き終わった後で知ったのだが)。
前半は、シュテファン・ドールをソリストに迎えたモーツァルト&R.シュトラウスのホルン協奏曲。
ドールといえば、泣く子も黙るベルリン・フィルの首席奏者である。
彼の実演は、私は一度聴いたことがある(そのときの記事はこちら)。
そのときはベルリン・フィルハーモニー八重奏団のメンバーとして来ていたのだったが、もちろん素晴らしくはあったものの、クラリネットのフックスが凄すぎて、ホルンはあまり印象に残らなかったきらいがあった。
それもあって、今回は楽しみにしていた。
遅れて行ったのでモーツァルトは聴けなかったが、R.シュトラウスは聴くことができた。
R.シュトラウスのホルン協奏曲第2番で私が好きな録音は
デニス・ブレイン/サヴァリッシュ/フィルハーモニア管盤(NML/Apple Music)
ペーター・ダム/ケンペ/シュターツカペレ・ドレスデン盤(NML/Apple Music)
ズデニェク・ティルシャル/ビエロフラーヴェク/プラハ響盤(NML/Apple Music)
あたりである。
いずれも、力むところの全くない、余裕綽々の繊細な音を堪能することができる。
ドールの演奏は、上記3盤に比べるとやや分が悪いというか、力んだような感じのする音も散見されたものの、特に弱音が大変美しく繊細で、さすがと思わせる演奏だった。
安定感がすごく、これほどのホルン演奏はなかなか聴けるものではないと感じた。
後半は、シューマンの交響曲第2番。
この曲は先月、シトコヴェツキー/日本センチュリー響の演奏会で聴いたばかりである(そのときの記事はこちら)。
そのときのベートーヴェン風の分厚い演奏に比べて、今回はよりすっきりした現代風の演奏だった。
上記記事にも書いた私の好きな録音の
アーノンクール/ヨーロッパ室内管盤(NML/Apple Music)
アバド/ベルリン・フィルによる演奏(デジタルコンサートホール)
あたりにより近い演奏となっていた。
第1楽章の序奏は、トランペットの付点付きの5度跳躍音型が特徴的だが、付点音符の終わりでスラーをしっかりと切り、その後の16分音符はスタッカートで歯切れよく奏させ、といったように、幻想的でもやもやしがちなこの序奏においてもアーティキュレーションがかなり明瞭ではっきりしている印象だった。
主部に入ってからも、速めのテンポですっきりとした音楽づくりであり、この音にアクセントをつけるとか、この音はクレッシェンドさせるとか、そういった細かい工夫がなされており、それらはいずれもはっきりとしていた。
さすが、東京国際音楽コンクールの優勝者である。
第2楽章や終楽章も爽快な演奏だった。
ただ、欲を言えば、私はこの曲にはもっと胸に切々と迫るようなところがほしい。
シューマンの交響曲には、ベートーヴェンやブラームスのような重厚感、どっしりした安定感はあまりないけれども、シューベルトにも通じる、さわやかなんだけれどもふっと切なくなるような、風みたいなところがあるように私には感じられる(特にこの第2番においては)。
上記アーノンクールやアバドの演奏には、それがある。
両者とも、高度に洗練されているのみならず、どこかしっとりしているというか、エモーショナルというか、微妙な感情のひだまで表現されている気がする。
それは、弱音の扱いとか、ちょっとしたデュナーミクの変化とか、そういった細かい表現に由来しているのだとは思うのだけれど、私にはその極意を明瞭に指摘することはできない。
指揮というのは自分では楽器を弾かないので楽というか、自分のやりたいことをやりつくせるように思ってしまいがちだが、上のようなことを考えると実はそう簡単ではなく、大変に難しいものなのだろう。
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