(クレア・フアンチの3rdアルバム「A Chopin Diary」) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

好きなピアニスト、Claire Huangci(クレア・フアンチ)の新譜について、以前の記事で少し触れた(そのときの記事はこちら)。

今月5日に発売されたその新譜は、彼女の3rdアルバムで、タイトルは「A Chopin Diary」。

内容は、ショパンの夜想曲(ノクターン)全集である。

それも、通常の21曲だけでなく、Nocturne Oubliée(忘れられたノクターン)と呼ばれる曲も収録されている。

さらに、エチュード op.25-7がチェロとピアノの二重奏に編曲されたものまで収録されている。

ここまでそろったノクターン全集は、これまでなかったのではないだろうか。

 

そして、何よりも演奏が大変美しい。

実にロマンティックなのだが、かといって甘ったるい解釈ではなく、適度に引き締まってもいる。

とにかくどの曲も素晴らしい。

中でも、ショパンコンクールでも弾いた彼女得意の第16番、そして「これ!」といった録音がなかなかなかったショパン晩年の傑作の第17、18番は、私にとってとりわけ貴重な演奏録音となった。

ショパン最後のノクターンである第18番については、もう少しゆったりと、人生を安らかに回顧するかのような味わいを出してほしかったような気も最初はしたが(特にあの短くも感動的な再現部!)、そのような甘っちょろいことはせず、あくまでも引き締まったテンポで、曲そのものに自然に語らせる、というのが彼女のスタンスなのだろうし、これはこれでやはり大変素晴らしいと思う。

あたかも、「ばらの騎士」の元帥夫人が、最後に泣きもわめきもせず、ただ一言「Ja, ja.」(ええ、ええ。)とだけ言って立ち去るような、そんな潔さ、奥ゆかしさがある。

 

ともかくも、このアルバムはNMLでもApple Musicでも聴けるし(NMLはこちらApple Musicはこちら)、CDも買えるので(こちら)、興味がおありの方はぜひ!

 

 


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