第15回ルービンシュタイン国際ピアノコンクールが始まった。
本日は1次予選の初日。
ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。
まずは前半。
XU Qi (China Age: 22)
Bach:Toccata in C Minor, BWV 911
E. Carter:Catenaires (From: Two Thoughts for Piano)
Schubert/ Liszt:Two Songs
- Gretchen am Spinnrade, S. 558/8
- Liebesbotschaft, S. 560/10
Liszt:Réminiscences de Don Juan, S. 418
バッハは味わい深いし、カーターはテクニックにキレがある。
シューベルトも悪くない。
リストは比較的薄めのペダルで、かなり細かい音まで明瞭に鳴らすが、ロマン性にも欠けていない。
ただ、最後の「シャンパンの歌」による部分は、もちろん十分うまいのだが、もうあと一歩速いテンポと迫力ある音が聴かれたらなお良かったか。
少し落ち着いてしまった感はあった。
それでも、全体的にはまずまず好印象。
POON Tiffany (China Age: 20)
Haydn:Sonata in A-flat Major, Hob XVI:46
- Allegro moderato
- Adagio
- Finale. Presto
Chopin:Ballade No.1 in G Minor, Op.23
Ravel:La Valse
こちらはさらに味わい深い。
素晴らしいハイドン。
粒のそろった音に、繊細な弱音。
ショパンのバラードも、ややゆっくりめの演奏で、派手さはないがエモーショナルな好演。
そしてラヴェルが実に素晴らしい!
こちらもゆったりとしたテンポだが、かなり精密にタッチコントロールされており、表情付けも細やか。
相変わらず弱音の美しさも健在。
この曲は2015年浜コンのときのドミトリー・マイボロダの演奏が素晴らしすぎて、他の演奏を受け付けなくなってしまっていたのだが、初めてそれに比肩しうる演奏を聴くことができた。
マイボロダのようなダイナミックさはないが、その分しっとりした味わいがある。
かなりの好印象。
CHEN Han (Taiwan Age: 25)
E. Carter:Catenaires (2006)
Rachmaninov:Etudes-tableaux Op. 33
- G Minor
- C-sharp Minor
Haydn:Sonata in D Major, Hob. XVI: 42
- Andante con espressione
- Vivace assai
Liszt:Réminiscences of Don Juan, S. 418
2015年浜コンでの鮮やかな「イスラメイ」が印象的だった彼(そのライヴCDは愛聴している)。
最初のカーター、やはりキレのあるテクニックは健在である。
ラフマニノフもなかなか味があって良い。
いわゆるラフマニノフ特有の深々とした音ではないにしても、かなり充実した力強い音が聴ける。
ハイドンも滑らかなタッチが素晴らしい。
先ほどのPoonが情感を込めたハイドンだったのに対し、こちらはよりカラッとした印象。
どちらも素晴らしい。
そしてリストは、激しくなりすぎず冷静な、それでいてリストにふさわしい力強い演奏で、とかくゴテゴテしやすいこの曲をすっきりと見事にまとめ上げた、きわめて完成度の高い演奏。
「シャンパンの歌」以降も、かなりのハイテンポなのに、きわめて明晰に弾き上げている。
期待通りである。
ミスタッチもないわけではなかったが、この曲でこのテンポにしては相当少ない方だと思う。
ところどころに「タメ」があり、本当はあまりタメすぎずにずんずん進んでほしかったけれども、まぁ十分といえば十分。
なお、ossia(別稿)のほうを弾いてくれたのも、嬉しいところである(個人的にこちらのほうが好み)。
OKROS Luka (Georgia Age: 26)
Schubert:4 Impromptus Op.90, D.899
- No. 1 in C Minor
- No. 2 in E-flat Major
- No. 3 in G-flat Major
- No. 4 in A-flat Major
Liszt:Hungarian Rhapsody No.2 in C-sharp Minor
シューベルトは悪くないがまぁまぁか。
ひときわ味わい深いかと言われると、それほどでもないかなという印象。
メロディもしっかり歌ってはいるのだが、シューベルトの「心の歌」を感じさせてくれるところまではまだ行っていないように感じた(また、第3番などでは歌い方のクセが少し強め)。
力強い和音も聴かれるけれども、シューベルトらしい音かというとそうではない気がする。
まぁ、シューベルトを味わい深く弾くというのは、一流のピアニストでも本当に難しいと思う。
リストは、特にフリスカ(後半の急速部)の部分はなかなかの高速テンポだった。
さらに力強い和音が聴かれたら、より迫力ある演奏になっただろうとは感じたけれども(リストにおいては、ベートーヴェンと同様に力感に溢れた充実した音というのがけっこう大事なように思う)。
なお、カデンツァ付きであった。
そして、なんとアンコールあり(バッハ/ジロティの前奏曲 ロ短調 BWV 855a)。
これはけっこう味があって良かった。
そんなわけで、特にPoonとChenにはこれからも大きく期待したい。
今日はまだ後半4人の演奏もあるが、深夜までかかるため、最後まで聴く気力はないと思う。
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