日本センチュリー交響楽団 第210回 定期演奏会
【日時】
2016年7月1日(金) 19:00開演
【会場】
ザ・シンフォニーホール
【演奏】
指揮:アラン・ブリバエフ
ピアノ:アレクサンダー・ロマノフスキー
管弦楽:日本センチュリー交響楽団
【プログラム】
ジュバノフ、ハミディ:歌劇「アバイ」より民族舞曲(日本初演)
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲 第3番 ハ長調 作品26
ラフマニノフ:交響的舞曲 作品45
アンコール
スクリャービン:12の練習曲Op8より第12番 嬰二短調
センチュリーの定期演奏会を聴いた。
日本初演の珍しい曲もあり、作曲当時のカザフスタンの社会情勢や、指揮者が作曲者の親類であることなど、なかなかに興味深かった。
また、ラフマニノフの交響的舞曲も、個人的にあまり聴き慣れた曲ではなく、こちらも興味深かった。
ただ、昨日カンブルラン&読響の圧倒的な名演を聴いたばかりだったからか、感動するというところまでは残念ながら至らなかった。
プロコフィエフのほうは、ソリストがあのロマノフスキーということもあり、注目した。
ブゾーニ・コンクール優勝で一躍有名になった彼は、余裕のある端正な演奏、テクニックが魅力である。
プロコフィエフの協奏曲第3番というと、昨年の浜コンで優勝したアレクサンデル・ガジェヴの最終予選ライヴ録音における少々乾いた明快な演奏や、youtubeに動画が載っているアメリカピアノ協会ファイナリストとしてのクレア・フアンチの演奏における生き生きとした演奏が、個人的には強く印象に残っている。
今回のロマノフスキーの演奏は、そのいずれの演奏とも異なるもので、ロシア・ロマン派の伝統を感じさせるものだった。
プロコフィエフが、前衛的な作曲家だったというだけでなく、チャイコフスキーやラフマニノフの系譜を受け継いだ、ロシア・ロマン派の気質をも強く有していたというのも、彼の重要な側面の一つだが、そのことを強く思い起こさせる演奏だった。
弱音でのロマンティックな解釈、そして強音での轟々たる迫力。
特に第3楽章のコーダでの和音の迫力はものすごかった。
プロコフィエフというと、普段はガジェヴのような、やや乾燥したシニカルな演奏を好む私だが、ロマノフスキーのようなプロコフィエフも良いなと感じた。
ただ、ロマノフスキーは、アンコールのスクリャービンでも感じたことだが、最強音部分ではかなり迫力のある(かといって硬くない)轟音がとどろきわたるのだが、それ以外の通常の部分ではむしろ音のよく通る人ではないのではないか。