大阪フィルハーモニー交響楽団 大ブルックナー展4 井上道義 ブルックナー 交響曲第1番 ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

大ブルックナー展Vol.4


【日時】
2016年6月25日(土) 15:00開演(14:15開場)


【会場】

兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール


【演奏】

<指揮>井上道義
<独奏>神尾真由子(ヴァイオリン)

<管弦楽>大阪フィルハーモニー交響楽団


【プログラム】

メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟」 作品26
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
ブルックナー/交響曲第1番 ハ短調


アンコール

エルンスト/シューベルトの“魔王”による大奇想曲(ヴァイオリン・ソロ:神尾真由子)






大フィルの西宮での演奏会である。

最初は「フィンガルの洞窟」。

フルトヴェングラーのようなすさまじい演奏ではもちろんないが、素直に楽しめた。

特に、再現部で第2主題をクラリネットが奏する部分は、昨年の大阪交響楽団の演奏会でも素晴らしいと感じたが、今回はそれに勝るとも劣らぬ美しさだった。

まろやかで美しく、音が裏返ったりといったこともなく、2ndクラリネットとのハーモニーも絶品で、完璧な演奏といっていいとさえ思った。


次は、神尾真由子をソリストに迎えたメンコン。

神尾真由子の演奏を生で聴くのは初めてだが、なかなか美しい音だった。

先日聴いた川久保賜紀に比べると、音はより細身であり、のびやかさは一歩譲るかもしれないが、繊細さは上であるという印象だった。

ただ、この曲については、演奏会帰りに五嶋みどりの録音を聴いていると、あまりにヴィヴィッドな音色、細やかな神経、カデンツァでの鮮やかさに、改めて舌を巻いてしまったのではあったが。


メインプロは、ブル1。

ほとんど聴き慣れない曲で、これといった感想は書けないのだが、若書きではあってもブルックナー独特の和声はもう十分に芽が出はじめているのだということがよく分かった。

この地味で渋い個性的な和声を、彼はどうやって見につけたのだろうか。