またつづきからで~~~~す
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「なあ総悟」
と呼ぶ土方くんはクールに腕を組んで、低い声音。
「なんです、土方さん」
と返す沖田くんは通路に足を投げ出して、ケータイをいじっている。声も軽い。
土方くんが言う。
「総悟。お前、マヨネご飯って知ってるよな?」
「ご飯ニマヨネーズをかけた不埒(ふらち)な食いモンでしょう?」
「うるせえ、なにが不埒だ。ていうか、俺はそれを食わねえ日はねえ」
「知ってますよ。で、そのマヨネご飯がどうかしたんですか?」
言いながら、沖田くんはケータイいじりをやめない。
土方くんは、フッと口元を歪(ゆが)めると、続けた。
「実はな、ゆうべそのマヨネご飯の改良に、俺は成功したんだ」
「誰も頼んじゃいませんがね、そんなこと」
沖田くんはつれない。
「いいからきけ。マヨネご飯にな、あるものを加えると、とてつもなく美味になったんだ。それがなにか、お前、知りてーだろ?」
「お、返信来た。はい、すげー知りたいです」
「全然知りたそーには見えねえぞ、コラ。―ま、いいだろう、教えてやる」
それはな、と言って、土方くんは一度言葉を切った。
もったいぶるような間を取ったあと、続ける。
「・・・・・・ツナ缶の、油だ」
きくとはなしにきいていた新八は、思わず半眼になる。
ど、どうでもいいよ・・・・・・。なんですか?ツナ缶の油?
心の底からどうでもいい情報ですよ。それは。
「ツナ缶のツナそのものじゃねーぞ。ツナ缶の、油だ。それをマヨネご飯にかける」
だからその「ツナ缶の」と「油だ」の間のタメはなんですか、タメは。
「どうでもよさそうな顔だな、総悟」
土方くんは不満そうに目を細める。
「そんなことありませんぜ。今度、魔が差したらやってみまさぁ」
「最低の社交辞令だな」
土方くんは舌打ちしたあと、沖田くんの手元に視線を移した。
「ところで総悟。お前、さっきから誰とメールしてるんだ?」
「ああ、これですか?出会い系サイトでさぁ。ま、こんなものやる奴は馬鹿か不細工って相場は決まってるんでしょうが、暇潰しにと思いましてね」
「なるほどな。ただ、一つ気になるんだが、それ、俺のケータイじゃねえか?」
「そうですよ。だって出会い系サイトですぜ。こんなもん自分のケータイ使いたくないでしょう」
「なるほど、そりゃ道理だな。―って殺したろかァァァ!」
机に身を乗り出して、沖田くんの首をグイグイ締め上げる土方くん。
不毛だなぁ・・・・・・。二人のやりとりを眺めながら新八は思う。
なんて不毛な争いなんだ。
と、そのとき、教室の後ろの引き戸がガラリと勢いよく開けられた。―
つづく
いつも微妙なんだよな~終わるところ
では~