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8月20日の封切りを心待ちにしている映画『孤狼の血 LEVEL2』ですが、待ちきれなくて昨日完成披露上映会『孤狼祭(コロフェス)』に行ってきました。仕事を早々に切り上げてアリオ川口の中にあるMOVIXへ移動。ムビチケという前売りシステムで予約や座席指定を事前に済ませていたのですが、いざ行ってみると発券機でチケットを出せないというおっさんトラブルを発動させてしまいました。このイベントは全国296の会場で同時開催だったそうで、冒頭で舞台挨拶の中継が30分ほどあり、本編はちょうど24時間前の18時30分からの上映でした。舞台挨拶の最中に「#コロフェスなう」を付けてツイートすると、スクリーン下部にリアルタイムにメッセージが流れるらしく、「ヨシダのパールグッズ販売希望」と流れていたのが笑えました。
『コロフェス』 開演前のスクリーン
ここからネタバレにならない程度の感想です。これまで小出しに公開される予告編を観ていて、松坂桃李さん演じる日岡の変貌ぶりはある程度予想していました。鈴木亮平さん演じる上林は、想像していた以上の狂いっぷりで、ちょうど今放映されている『TOKYO MER~走る緊急救命室~』と同じ役者さんだとは到底思えません。今作『孤狼の血 LEVEL2』は、この対峙する2人のアクション映画であるのは間違いありません。
前作『孤狼の血』は、最初から最後までこれでもかというほどの暑苦しさや汗臭さ、泥臭さが描かれていましたが、今作は若手が中心に好演しているからでしょうか、かなり薄らいだ感じがしました。さわやかというわけではないものの、それほど暑苦しくない感じで、ここは賛否が分かれるところかもしれません。そういえば前作で、大上にからかわれる友希が
「暑苦しいんじゃ!」
と返してその場から立ち去るシーンがありましたね。
暑苦しさが薄らいでいる理由のもうひとつは、劇中で飛び交う広島弁にあるような気がしました。広島で生まれ育った身からすると、今作の広島弁はとてもきれいな響きで特有のくどさがあまり感じられません。ジェットコースターのように乱高下する独特のイントネーションがほとんどなく、聞いていて広島弁のような感じがしませんでした。ここはモノマネ芸と同じようにわざとらしいぐらにデフォルメして抑揚をつけたほうが、コテコテ感が溢れて暑苦しくなるのではないでしょうか。なお、クレジットタイトルを目で追った限りでは、方言指導は前作の小豆畑雅一さんから呉原東署の刑事役で出演されている沖原一生さんに変わっているようです。
個人的に今回のキャストの中で際立って素晴らしいと感じたのが、チンタ役を演じる村上虹郎さんと、県警の管理官役を演じる滝藤賢一さんです。チンタのほうは、役柄としての立ち位置の不安定さからくる戸惑いや苦悶の表情、おどおどとした様子、一方で西野七瀬さん演じる実姉に見せる強がった表情や立ち振る舞い、素晴らしい演技だと思いました。また、猜疑心と打算の塊のような県警の嵯峨管理官は、前作に続き滝藤賢一さんが好演されています。私が審査員だったら助演男優賞は間違いなくこのお二方です。
白石和彌監督の真骨頂ともいえる残忍極まりないシーンは、これでもかというほどリアルにそして残虐に描かれており、これに鈴木亮平さんの怪演が拍車をかけています。私もこういった映像が得意なほうではなく、思わず目を背けてしまうシーンもありました。残虐な描写が苦手という方もいらっしゃるとは思いますが、言ってしまえばそこは映画、お芝居なわけです。上林という残忍極まりないキャラクターが出来上がった背景を推し量りながら物語を追うべきではないでしょうか。
チンタを前に上林が焼肉を食べるシーンがあります。このロケ地は広島市中区の市営基町(もとまち)アパート1階の商店街にある焼肉店だと思われます。店を出た上林は店先ですれ違った少年の姿に自分を重ねて幼少期の回想シーンに入ります。映画の設定年である1991年に上林が30代だとすると、1970年前後が幼年期になると思われます。その当時の基町地区は一面に原爆スラムの密集している場所でした。奇しくも同じ東映が1973年に製作した『仁義なき戦い 広島死闘篇』の中に、セットではなく基町の原爆スラムで撮影されたシーンが出てきます。70年代あたりまでは基町以外でも川沿いにバラック建ての建物が相当数並んでいたように記憶しています。映画では上林が生まれ育った町の設定はありませんが、世の中が高度経済成長に沸く一方で、取り残されて抑圧された上林の少年期も連想されます。ここ以外で気づいたロケ地については別記事にします。
さて、話は変わりますが、前作『孤狼の血』の終盤にさしかかるあたりで、行方不明になった大上について日岡が銀次に心当たりを探ってもらえないかと打診するシーンがあります。このときの場所は銀次の構える右翼団体の事務所で、昭和63年後半を象徴する演出として、昭和天皇の病状を伝えるニュース映像がテレビから流れていました。ブラウン管の中でニュースを読み上げているのが地元広島の中国放送のアナウンサーで、映画プロデューサー、監督、俳優、作家とマルチにご活躍されている天才横山雄二さんです。今作でもどこかに出演されているはずなのですが、1回観ただけではわかりませんでした。中国放送(RCCラジオ)で毎週土曜の夜に放送されている『ザ☆横山雄二ショー』をRadikoプレミアムで聴いているのですが、おそらく今週以降で封切りまでの間に本作に関わる方がゲスト出演されるのではないかと思っています。
前売りチケットを買って、封切り後にもう一度劇場で観てみようと思います。
