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西野七瀬さん演じる「チンタのお姉さんが暮らしている家」の部分をさらに追記しました。

*** 7/29 ***

西野七瀬さん演じる「チンタのお姉さんが暮らしている家」の部分を追記しました。


 

こんにちは。

お読みいただきありがとうございます。

 

先週、孤狼祭(コロフェス)に行ったことを書きましたが、予想以上にいいね!を押していただきありがとうございます。前作、今作ともに近年の邦画の中では稀有なエンターテインメント作品であることは間違いありませんが、残虐なシーンがたくさんあるのも事実でR15指定となっています。ただ、これらのシーンは登場人物の生まれ育った背景や動機を推し量るための重要な鍵になっていたり、登場人物を駆り立てる原動力になっていたりするので、これら抜きでは映画が成立しません。地上波での放送は難しいでしょうね。

 

さて、基町の高層アパート群については前の記事で触れましたがひとつ訂正があります。アパート群は市営ではなく県営でした。

 

この基町アパートの1階にある商店街の写真を公開されていらっしゃるブログを見つけました。寂れた昭和の雰囲気が写真の色合いとともによく表れています。このQさんのブログに、前作『孤狼の血』のロケ地を巡られている興味深い記事もありました。

 

 

 

 

それでは、基町アパート以外で気づいたロケ地をネタバレにならない範囲で挙げてみたいと思います。なお、コロナ渦で広島に帰省できるわけでもなく、往年の記憶とGoogleMapを駆使しての推測が多く、誤りがあるかもしれません。

 


 

日岡とチンタが同じテーブルに着いて会話を交わす屋上ビアガーデンの場所は、呉市中通3丁目のこのビルの屋上に組まれたセットだと思います。脱線しますが、このシーンは2人が座ったテーブルの周囲をカメラが360度回って撮影されており、思わずマイケル・ベイ監督の作品が頭に浮かびました。前作『孤狼の血』でも、五十子会長が殺られるシーンでトイレの個室という狭い空間が同じ手法で撮影されていて、いったいどうやって撮られたのかとても不思議に思いました。

 

このビヤガーデンのビルの斜め前は、前作『孤狼の血』で阿部純子さん演じる桃子が住んでいる設定だった建物で、その建物を挟んで数十メートル先に“黄ビル”が見えます。前作で中村倫也さん演じる尾谷組のチンピラ永川が、加古村組のチンピラと乱闘騒ぎを起こす場面が黄ビルの入口です。入口の前にウォンツという地域最大のドラッグストアがあるのですが、昭和63年当時にウォンツは存在しないので、乱闘シーンではウォンツが映り込まないようにうまく撮られています。また、黄ビルのすぐ横にあるかえで橋は、日岡が真木よう子さん演じるクラブ梨子のママから14年前の衝撃の告白を受ける場所です(今作でもかえで橋は少し出ていました)。前作で日岡を伴って大上が入るパチンコ店、吉田が“アイスコーシー”を頼むぶらじる喫茶店、加古村組の組事務所といった場所は、この界隈に集中しています。

 

左下のビル屋上がビアガーデンの場所

中央下部に見えるのが桃子の住まい

右上に見えるのが“黄ビル” /GoogleMapより

 


 

県警本部として使われているのは広島県庁の旧庁舎です。あの建物は相当古く、約半世紀前の私の幼少時代には間違いなく存在していました。旧庁舎群の南側の建物の地下1階に「物資部」と呼んでいたスーパーマーケットのような場所があって、当時幼稚園児だった私は母に手を引かれてときどき買い物に行っていました。今でも物資部に下りていく階段や、階段を下りたところの光景は記憶に残っています。ちなみにこの旧庁舎群のすぐ東隣に本物の県警本部庁舎があります。

 


 

映画のほぼ終盤、人がすれ違うのがやっとの幅の薄暗い商店街から路面電車と車の行き来する大通りを望むシーンがあります。衝撃的で重要なシーンのひとつですが、あそこは宇品ショッピングセンターで間違いないと思います。路面電車の「宇品5丁目」の電停が見えます。名称にショッピングセンターなんてついていると、ゆめタウンやイオンモールのような商業施設を連想しますが、おそらく昭和30年代にできた小さなお店の集合体で、現存していたことが驚きです。この近くに親せきの家があり記憶に残っています。前出のQさんのブログに宇品ショッピングセンターの写真が紹介されていました。記事によると現在はほとんどが取り壊されてしまっているそうで残念です。

 

 


 

最後に、呉市の弁天橋付近でロケを目撃したという情報が以前Twitterで流れていました。呉市街から南東の海沿いに2~3kmほど行ったところに広(ひろ)という地域があり、弁天橋は広にある町名だそうです。呉市街と広の間には休山(やすみやま)という山があり、厳密にいうと呉市街から休山トンネルを抜けたところが阿賀で、その先の黒瀬川を渡ると広です。GoogleMapの航空写真で弁天橋の付近を眺めていたところ、弁天橋近くの広中新開という町の一角に建ち並ぶ平屋の住宅群が、西野七瀬さん演じるチンタのお姉さんが子どもたちと暮らしている場所の雰囲気にとても似ていることに気がつきました。ストリートビューの撮影年が古いので、そもそも現存している場所なのかどうかわかりません。

 

ストリートビューで見るかぎり、高度経済成長期に建てられた戸建ての公営住宅のような雰囲気ですが、ここに関しては何も確証はありません。映画の中では家の前に送電線の鉄塔の基礎部分あったと思いますが、もし仮にここで撮影されたのであれば鉄塔の基礎部分は撮影用に作られたセットなのかもしれません。

 

*** 7/29追記 ***

下の予告編動画の0:52あたりにほんの一瞬ですがこの画角で映ります。ロケ地はここで間違いないと思います。平屋建てのこの建物を背に日岡と押しかけた報道陣が規制線を挟んでにらみ合う場面では、報道陣の右側に送電線鉄塔の基礎部分とそれを囲う金網が見えますが、おそらくそれらは撮影用のセットだと思います。

 

*** 9/7追記 ***

昨日2回目を観てきました。1回目と違って落ち着いてじっくり観ることができました。購入したパンフレットにこのロケのことが紹介されていましたが、目の前の建物を解体して撮影用のセットとして送電線の鉄塔が作成されたそうです。保護柵の年季の入った感じや掲示された銘板(プレート)といい、美術スタッフの方々の並々ならぬこだわりを感じます。

 

 


 

前作はそれこそ台詞を覚えてしまうぐらい、数えきれないほど何度も観ました。最初の10回ぐらいは観るたびに新たな発見があるのです。後でわかるストーリーのどんでん返しに対して、それ以前のシーンで表情の変化が隠されていたり…。今作はコロフェスで1回観ただけですが、スクリーンに集中するあまり、見逃してしまっているシーンがかなりあると思っています。そういう意味でも封切り後は改めて劇場に足を運びたいと思います。

 

私が広島に帰省したのは昨年の2月末が最後です。実はそのときも墓参り用に借りたレンタカーで半日だけ呉を散策してきました。灰ヶ峰に上がり、警固屋地区を回って中通りの天武蔵で昼食を食べ、向かいの福住でフライケーキをお土産に買って広島にとんぼ返りするというスピードコースでした。

 

コロナが収束したらゆっくり広島に帰りたいです。そのときは呉にも行きたいと思います。

乱文失礼致しました。