こんにちは。お読みいただきありがとうございます。
今回はセブンイレブンのレジの横で販売されているコーヒーの「サプライチェーン」について考察してみます。
コーヒー好きの私は結構な頻度でコンビニに立ち寄ります。主要なコンビニ各社のコーヒーを飲み比べていますが、圧倒的にセブンイレブンのコーヒーが美味しいと感じています。感覚的にいうと
セブンイレブン >> ファミリーマート > ミニストップ > ローソン
かなあ。知らない土地でもすぐにセブンイレブンに立ち寄れるように、カーナビの地図にはセブンイレブンのアイコンだけを表示させています。まあ、あくまでも嗜好品ですから好みの問題ではあるのですけれどね。ローソンは注文すると店員さんが抽出して出してくださる店舗が多いですが、味云々以前にあのシステムにかかる時間がもったいないと思うのです。店内キッチンのコンセプトは理解できますが、ミニストップの店内調理品しかり、混雑時にオーダーが入ると会計待ちの列ができてしまいます。コロナ対応の一環としてセミセルフレジの導入などでお客さんとの接点を極力減らそうという動きが加速していますから、今後見直される可能性はあるかもしれません。
本題に戻りますが、セブンイレブンの場合、原料であるコーヒー豆のサプライヤーはAGF社です。供給量や1杯100円という値段からみて、高級なコーヒー豆が使われているとは思えません。それなのに美味しいと感じるのは同社の焙煎技術が優れているからなのでしょう。以前一緒に仕事をさせていただいた某大手コーヒーメーカーの方との雑談の中で、こんな話で盛り上がりました。その方もコンビニのコーヒーだったら間違いなくセブンイレブンのコーヒーが美味しいとおっしゃっていました。
1杯のコーヒーに使われるコーヒー豆が8gと仮定して、セブンイレブンの店舗数が全国約2万店、東洋経済オンラインの記事によると1店舗平均で1日に130杯が販売されるそうですから、1日に20トン以上ものコーヒー豆が消費されるわけです。挽いていない豆の状態では嵩も大きいので、たとえばフレコンバッグならサイズにもよりますが1つに400~500kgといったところでしょうか。フレコンバッグで毎日40~50個です。
自分の仕事柄、サプライチェーンを考えてしまう癖が抜けきれないのですが、ざっと大雑把に考えても
- 毎日20トンの生豆を受入・焙煎
- 焙煎から一定時間経過後に縦ピロー包装・箱詰め
- 全国のDCへ輸送
- 地域の配送拠点へ輸送
- 各店舗へ配送
となります。「平均130杯」はホット、アイス、カフェラテなど複数あるSKUの合計でしょうが、材料の供給量としてはとてつもない数です。当然ですがコーヒー豆だけで成立するビジネスではなく、ピロー包装用のフィルム(1袋400g入り、ピッチ25cmと仮定して毎日12,000~13,000m?)、段ボール(20袋入りなら毎日2,500枚?)、紙コップやアイス用の氷入りカップ、店頭に並べられるストローやマドラー、砂糖やクリーム、それらの副資材……。うーん、とてつもない量ですね。ボタンを押すだけで当たり前のように飲むことのできるあのコーヒーも、様々な加工や輸送を経て全国津々浦々のセブンイレブンに供給されているのです。もちろん相応に合理化・省力化されているとは思いますが、そうはいってもそれらに携わる人たちの数もとんでもなく膨大です。モノやサービスの値段は、そのサプライチェーンに携わっている全ての人たちの人件費とも考えられます。
たまにはそういった商品の背景に思いをはせてコーヒーを飲んでみてはいかがでしょうか。
余談ですが、三十余年前に私が上京して一人暮らしを始めたとき近所にあったコンビニはニコマートというお店だけでした。記憶ではその数年後に様々なお店が立ち上がって、し烈な競争が繰り広げられていったように思います。
当時の感覚では、トイレットペーパーや洗剤、野菜や肉類をコンビニで買うなんてとても考えられません。せいぜい許せてパンやおにぎりといった日配品やカップ麺やスナック菓子ぐらいかなあ。今では当たり前のペットボトル飲料(500ml)が台頭してきたのも90年代の半ば以降です。
一方、現在は各社ともPB商品の開発・販売に注力していて、値段も手ごろで馬鹿にできない味や品質を誇っています。もしも今の時代に一人暮らしを始めるのであれば、1階にコンビニの入っているマンションの上階に住むのが最強なのではないかと思ってしまいます。