【ウクライナ難民】派遣スタッフより 東部国境編 | グッドネーバーズ・ジャパンのブログ

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グッドネーバーズは、日本国内を含む世界40カ国以上で子ども支援、開発、緊急支援活動に取り組む国際NGOです。

こんにちは!グッドネーバーズ・ジャパンの太田です。

2022年3月23日〜4月6日にかけて、私ともう一名の職員でルーマニアへ出張に行ってきました。ルーマニアでは、グッドネーバーズ・インターナショナルが行っているウクライナ難民への支援活動を視察、今後の支援事業のための調査※を行いました。

本調査事業は、ジャパン・プラットフォームの助成により実施しました。

 

2月24日以降、ルーマニアには677,004人(2022年4月11日時点)の人々が難民として流入してきており、そのほとんどが女性と子どもです。グッドネーバーズ・インターナショナルでは、主な流入ポイントとなっている東部イサクチャ、北部シレトの2つの国境地域を拠点に活動を行なっています。

東部イサクチャと北部シレトの場所

(Source: UNOCHA)

 

今回の記事では、出張の前半に行った東部のイサクチャ国境での視察の様子をご報告します。

 

イサクチャ国境地点。対岸がウクライナ

(イサクチャ国境地点。対岸がウクライナ)

 

ドナウ川を挟んで対岸がウクライナです。ウクライナやルーマニアは寒いというイメージがありましたが、視察した時の気温は日本とほぼ変わらず、日中は春らしい陽気でした。

 

イサクチャ国境地点の支援団体のブース。周辺にはヒーターなどが置かれたテントもあります

(イサクチャ国境地点の支援団体のブース。周辺にはヒーターなどが置かれたテントもあります)

 

難民が流入し始めた2月当初はやはりとても寒い日が多く、雪も降るほどだったので、国境地点での支援団体の人たちは難民の方々が凍えないよう支援ブースを暖めて待っていたそうです。

 

支援団体の方に話を伺ったところ、当初に比べると随分過ごしやすくなったと話していましたが、このような状況がまさか1ヶ月も続くと思っておらず、先の見えない状況であるウクライナの人々のことをとても心配していました。

 

グッドネーバーズ・インターナショナルは、東部イサクチャの国境地域では、近郊のガラツという町を拠点にし、国境を渡ってきた人々が安全に他の町や国に移動するのをサポートするバスの運行を行なっています。

 

イサクチャ国境地点でグッドネーバーズが提供しているバスバスで他の都市に移動する難民の様子

(左:イサクチャ国境地点でグッドネーバーズが提供しているバス。右:バスで他の都市に移動する難民の様子)

 

ウクライナからルーマニアに逃れてくる人々は多い時には1日3,000人、私たちが視察した3月25日には、800人ほどの人が入国していました。

 

UNHCR職員の方から最近の国境地点の動向を伺いました

(UNHCR職員の方から最近の国境地点の動向を伺いました)

 

国境地点には、UNHCRなどの国連機関をはじめ、さまざまなNGOが支援活動を展開しています。難民の方達が乗るフェリーがルーマニア側に着いた途端、多くの支援団体が、難民の方達に温かい食事や飲み物を渡しながら、どのようなサポートが必要かをヒアリングしていました。

 

イサクチャ国境地点でフェリーで到着した難民を迎える支援団体イサクチャ国境地点で難民に食糧や飲み物を提供する支援団体

(イサクチャ国境地点。左:フェリーで到着した難民を迎える支援団体。右:食糧や飲み物を提供する支援団体

 

その中でも、大きなスーツケースをたくさん抱え、一人で逃げてきた女性が「安全な場所に行きたい」と言っていたのがとても印象的でした。

 

ウクライナからフェリーでルーマニアへ渡る難民の様子

(ウクライナからフェリーでルーマニアへ渡る難民の様子)

 

戦争が始まった当初は、ルーマニアやその他の国にいる親戚や友人を頼って避難してくる人たちが多かったそうですが、戦争が長期化するにつれ、行くあてのない人たちがとにかく安全な場所を求めて逃げてくるケースが増えてきているそうです。そのような状況では、人身売買などの被害が増えることも懸念されており、安全な移動や滞在を支援することが重要だと実感しました。

 

また、国境地点から50kmほど離れたガラツの町では、現地の市民団体や教会と協力し、グッドネーバーズ・インターナショナルがチャイルドフレンドリースペースを運営しています。このスペースでは、ガラツに数日間滞在する難民の子どもたちが安心して遊べる場所になっています。

 

(ガラツのチャイルドフレンドリースペース)

 

ここでは、地元のボランティアの協力により、戦争のトラウマをケアするため、子どもたちへのサイコソーシャルサポートが提供されています。子どもたちは、グッドネーバーズ・インターナショナルが提供するワークブックで遊びながら、自分と向き合い、気持ちを整理することができます。

 

チャイルドフレンドリースペースの場所を提供している教会のメンバーに話を聞いたところ「とにかく何もかも初めての経験ばかりで、大忙しの日々を送っています。それでも、難民の人たちが少しでも安心できるよう私にできることをやりたいです。」と話してくれました。

 

この教会では、チャイルドフレンドリースペースの運営だけでなく、簡易の宿泊所の提供や、食事の提供を行っています。ボランティアの人たちの多くは、以前はあまりウクライナの人々と交流する機会がなかったと言っていました。ウクライナ語とルーマニア語は全く別の言語なので、言葉が通じないことへの戸惑いも双方あるようです。

 

そんな中でも、短期視察の私たちにも状況を詳しく説明し、ガラツを訪れたことをとても喜んでくれ、出張中の張り詰めた気持ちがほぐれていきました。

 

難民の方達にとっても少しでもこの場所が心安らぐ場所であるようにと願っています。

 

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