レアル・マドリーとのアウェイの試合をスコアレスドローで終えたバレンシア。
今季、サンティアゴ・ベルナベウから勝ち点を持ちかえったクラブは僅かに3クラブのみ。
バルセロナ、マラガ、そして今回のバレンシアだ。
この勝利は勝ち点1以上に価値が高い。
長年足元を見られ、ライバルから勝ち点を奪えずにいたバレンシアが彼らを出し抜いたのだから。
では、この試合、何が上手く行ったのか。
DF面の徹底ぶりであろう。
強敵相手には絶大な効果を発揮するリトリートDFを試合を通して貫き通し、尚且つ、奪われた際のファーストコンタクトにも手加減がなかった。
相手陣内でボールが動いている際には、ラインを高く保ち、中盤との間をコンパクトに。
そして、自陣では壁を作って、マンツーマン+1の体制を常に作っていた。
この守備の要となったのが、前半戦に数々の試合で戦犯扱いされてきたトパルだ。
縦横無尽にピッチを駆け回り、相手に縦のパスを入れさせない。
さらに、相手との距離を一定にキープし、その上で味方のカバーリングもこなす万能さを見せた。
正直な所、僕は批判していた側なので驚きも人一倍だ。
素直に謝罪と称賛をしたい。
もう一人の立役者は、GKのビセンテ・グアイタ。
誰の目から見ても、今日の試合では世界一のGKであったことだあろうと僕は思う。
多くのビッグセーブしかり、安定したセービングとコーチングは、味方選手に大きな勇気を与えたことだろう。
攻撃面では、ティノ・コスタのトップ下起用が大成功。
高い位置で、持ち前のボールを保持する能力を発揮し、バレンシアの攻撃の起点、核となり、チャンスを量産していた。
迫力のある弾丸ミドルに、カシージャスは相当焦りを感じていたことと思う。
この采配にはもう一つの利点があったのだが、お気付きであろうか?
前述でも述べたのだが、早い段階でのプレッシャーで、相手に時間を掛けさせることができ、DFに戻る時間と準備をさせる余裕を与えたのだ。
これは、ショートカウンターをする際にも、効果的に働いた。
奪う位置が高くなれば、味方にも選択肢が生まれるし、リスクも掛けやすくなる。
一番顕著に現れていたのは、両サイドバックがラインを高くしている状況から攻撃に絡んでいた時。
リカルドやアルバの飛び出し、クロスからも確認できると思う。
また、スピードのあるピアッティとフェグリもファーストディフェンスには大いに貢献したと感じている。この二人は前半からトップスピードを維持して、サイドを何度も往復して、攻撃、守備ともに相手の嫌がるプレーを繰り返していたのが印象的だ。
CBの二人も安定していた。
強いて言うのであれば、裏を取られる回数が普段よりは少なかったという所か。
クリスチャーノの抜け出しや、ベンゼマの飛び込みに見る、守備の甘さもちらほら見えたが、失点はしなかったのだ。今日は見逃そうじゃないか。
アドゥリスは、いつもよりはボールが収まっていたように思う。
交代選手については、苦言はないが、流れを留めて、少々良い方向にしることが出来ていた。
これに尽きる。
エメリ監督の交代の判断の早さも評価出来るポイントだ。
このサッカーでパレホの縦パスが生きて、攻撃に繋がったのも大きな成果である。
何度かワンツーで抜け出して、演出したチャンスの数は称賛に値する。
「楽しかった。」、「興奮した。」、「笑った。」、「焦った。」、「悔しがった。」「喜びあった。」、「安心した。」
サッカーで感じるであろういくつもの要素をこの試合は兼ね備えていた。
そして、現地のとあるBARで観戦していた、僕にとっては非常に感慨深いものでもあった。
雰囲気が別物なのだ。
普段は人の集まらない、広々とした空間に同じ志を。同じ愛情をバレンシアに持っているサポーター、ファンが幾人も集まって試合の流れを見守っている。
選手への称賛、拍手は一つ一つのプレーの度に起こり、テレビの前で夕飯がてら試合を見ている人の多くが、ご飯を食べる手を休めて真剣に見入っている。
こんな光景をいつか日本でも見てみたいものだ。
レアル・マドリーとの熱い勝負の裏で、こういったサポーターの姿が拝めたのは、他でもなく、バレンシアに来て、記事を書きたいという情熱があったからこそだ。
以前、「サイクルが終わりに近付いているのかもしれない。」
こんなことを書いた。
撤回しよう。人の意思が揺るがぬ限り、終焉など訪れないのである。
3連敗の後のダービーでの引き分けが、僕をネガティブにしていたのかもしれないが、あまりに浅はかであったと反省している。
時々、爆発的な強さ、面白さを発揮するから好きなのだろうが、バレンシアが。
いや、愛しているのだろうが!
次のラージョとのホームの試合。
全力で応援をしよう。絶対に勝とう。
インチャスやウルトラスの応援が足りない?そんなの関係ない。
僕が、バレンシアを愛している限り、応援する魂が消えることはない。
応援の声が届かないことはない。
バレンシアを愛するバレンシアニスタの皆さん。
一緒に戦いましょう。3位とEL優勝をもぎ取りましょう。
日本からでも応援の声は届きます。
それでは。また次の試合で。
追記
現在、日本からの応援の声を届けたい。
そう言った思いから一つの計画を進行中です。
内容としては、横断幕に日本のバレンシアニスタから届いたメッセージを書いて、一つの言葉にし、スタジアムで公開するといった形。
広報にも既に連絡は取っていますが、返信が中々ありませんので、こちらから出向いてみようと思います。
もし、興味のある方は、コメント等お願いいたします。
ツイッター、facebookでのご連絡でも構いません。
それでは。