前回まではこちら
自立生活センターの動画をみた結果、今度は人工呼吸器の仕組みが気になってきて、質問を始めました。
Q 4
気管切開でバイパップは使えない?
A 4
結論から言うと、気管切開をしていてもバイパップ(BiPAP)を使うことは可能ですし、実際に使われている患者さんもたくさんいらっしゃいます。
ただし、マスクで使うときとは少し異なる注意点や、機種の選び方があります。分かりやすく解説しますね。
1. 気管切開でバイパップを使う2つの方法
バイパップはもともと「鼻や口のマスク」で使うことが多い機械ですが、以下の方法で気管切開チューブに繋ぐことができます。
- 専用の接続コネクタ(呼気ポート)を使う
バイパップの1本ホースを気管切開のチューブに繋ぐ場合、ホースの途中に「息を逃がす穴(呼気ポート)」がついた特殊な部品を挟みます。これでマスクのときと同じように、吐いた息を外に逃がすことができます。 - 「バイパップ機能」を持った2本ホースの呼吸器を使う
現在、多くの「2本ホースの呼吸器(据え置き型の人工呼吸器)」には、バイパップと全く同じように「吸うときと吐くときで圧力を変えるモード(二相式陽圧換気モード)」が搭載されています。つまり、見た目は2本ホースのままで、中身のプログラムだけをバイパップと同じに設定して使っているケースも非常に多いです。
2. なぜ今回、1本ホースのバイパップではなく「2本ホース」が選ばれているのか?
質問者様がケアされている方は、現在「2本ホースの呼吸器」を使われているとのことでした。これには筋ジストロフィーの進行度や、安全性を考慮した明確な理由があります。
- 「呼吸の強さ」を100%保証するため
1本ホースのバイパップは、空気漏れ(お喋りなど)を許容する分、実際に肺にどれだけの空気が入ったかの計算が少しアバウトになります。
一方、2本ホースの呼吸器は、漏れを許さない代わりに「設定した量の空気を確実に肺に届ける」力が非常に強いです。ほぼ全介助で24時間呼吸器が必要な方の場合は、安全のために2本ホースのタイプが選ばれるのが一般的です。 - アラームで異変にすぐ気づくため
お喋りでアラームが鳴ってしまうのはデメリットですが、逆に言えば「ホースが外れた」「カフの空気が抜けた」という命に関わるトラブルが起きたとき、2本ホースの呼吸器なら1秒を争う早さで確実にアラームが鳴って教えてくれます。
💡 まとめ
気管切開でバイパップ(あるいはバイパップのような設定)を使うことは可能ですが、24時間常時使用で安全性を最優先する場合、あえて「アラームは鳴りやすいけれど、確実に空気を送り込める2本ホースの呼吸器」を選択している可能性が高いです。
お喋りのたびにアラームが鳴って大変な場合は、「本人が喋りやすいように、アラームの設定(リークの許容範囲)を少しだけ調整できないか」を、ぜひ訪問看護師さんや主治医に相談してみてください。
その他に、呼吸器の管理や普段のケアのなかで、「ここが扱いにくくて困っている」「主治医にうまく伝わらない」といった具体的なお悩みはありますか?