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青い旅人

16才のヒカルは国家機密情報部の重要な任務を任された。任務名コードネームゼロ。記憶の片隅に消えた歴史、青い民の生き残りを連れ帰る。そして物語の終盤で岐路に立たされる。任務を遂行できるのか。何が待ち受けているのか。ヒカルはまだ知らない。

「トゥーリは遺伝子学の研究者だった。アリシパンで国際会議があったときに、アミュータウンの染色体異常の子供が見つかったという報告を受けて彼は、あの町に調査のために訪れた。私は当時両親のあとを引き継いでクライアントと金融商品の売買を行っていた。親しくしていたクライアントの一人が、家族を失って落ち込んでいた私を励ます為に食事会を開いてくれて、その席で彼を紹介されたの。とても瞳の澄んだ人で自分の研究を世の中の為に役立てたいと熱心に語っていた。彼の境遇も私と似ていた。彼は幼い頃に父親をなくし母親に育てられていた。その母もつい最近永眠されたばかりだったの。互いが恋に落ちるには時間がかからなかった。それからというもの彼は研究の合間に、私のオフィスをたずねるようになった。そして一緒に暮らし始めて、出会ってから半年後あなたを授かったの。本当に嬉しかった。幼いあなたを見ていたら他には何もいらないと思った。」

テレサもハーブティを飲んだ。

「あなたはとてもすやすやいつも寝てくれた。眠れないときには、いつも青い都の物語を聞かせたの。そうするとあなたは泣き止んでぐっすりと眠ってくれた。知らない間に私はあなたに記憶を伝えていたみたい。」

ヒカルは静かにテレサを見つめた。

「あなたは間違いなく愛されてこの世に生を受けた。私もトゥーリもあなたを心から愛した。私達の生活が破綻したのは、私の弱さ。あの人を信じつづけることができなかった私の弱さが原因。どんなことがあってもどんなときでもそばにい続けるべきだった。あなたと一緒に……。ヒカル、私はもう恐れない。何があっても怖れない。あの人が真実の姿を取り戻すまで、あきらめずにそばにいるわ。」

テレサは強くヒカルの手を握り締めた。

「あなたもあなたの大切なものを大事にしなさい。いるべき場所で、思う存分生きなさい。私はあなたが選択したものが最良であるといつでも見守っているわ。私達はたとえ何があろうともこの絆は永遠に断ち切ることはできないの。」

……テレサ。」

ヒカルはその時の母の笑顔を一生忘れないと思った。その輝きがまぶしく思えた。なんてきれいなのか。

それぞれが思い思いの1日を過ごし、決行の夜を迎えた。一行は、闇に身を隠しアミュータウンのアジトまで安全に辿りついた。