「ジャイロ、何をする。」
「これで借りを返したぞ。テレサ、安心しろ。しばらく身体は動かす事は出来ないが、意識は残してやった。」
「トゥーリ、あなたは覚えているかしら。我が子のこと。」
テレサは突然古い子守唄を歌い出した。その心でその場一体が清められる。ヒカルのペンダントが輝き出した。
「あの光は…。お前はヒカルか。」
輝き出したペンダントとゼロが共鳴する。クローザスにテレサは、青い民たちと自分自身のトゥーリとの愛の記憶を伝えた。かき集められていたクローザスも虹色に輝き出した。クローザスには、治癒力がある。人々の自然治癒力を呼び覚ます力がある。青い民の笑顔の記憶、テレサ、トゥーリの愛の記憶、長老アズマの在りし日の勇姿。悲しみにくれ氷の世界に深く心を閉ざしていたラーニャの、魂が振動した。ゼロに封印していたラーニャの魂がよみがえる。ハルミテンの石造が息吹を吹き返した。
「この世に怖れが蔓延している。ならば我は喜びの種を蒔こう。」
ラーニャは天高く舞いあがったかと思うと旋回して飛び立った。その頃各地では、季節はずれの金色の雪が降り注いでいた。それはラーニャからの贈り物だった。ラーニャは永遠に生きつづける。そのエネルギーが雪となり、ラーニャの行く先々で雪が降る。東の国にも同様に金色の雪が降り注いだ。それはやがて大粒の雨となって全てを浄化した。その不思議な光景に、建物の奥で息を潜めていた子供達が次々に外に駆け出した。親達は慌てて制しようとしたのだか、血の気のなかった子供達の顔にみるみると生気が満ちていることに驚愕した。そして東の国の人々は、はるか天空を感謝の心で見つめた。
その頃、お城のベランダでそよ風に当たっていたヨシュアの下にもその雪は舞い降りた。ヨシュアがその雪に触れたとたん奇跡が起こった。