青い旅人(第43話) | 青い旅人

青い旅人

16才のヒカルは国家機密情報部の重要な任務を任された。任務名コードネームゼロ。記憶の片隅に消えた歴史、青い民の生き残りを連れ帰る。そして物語の終盤で岐路に立たされる。任務を遂行できるのか。何が待ち受けているのか。ヒカルはまだ知らない。

「ヒカル、お茶を飲まない?この山でとても香りのよいハーブティーを見つけたの。それを飲めば少しはリラックスできると思うわ。」

ヒカルはうながされ、ログハウスに戻ることにした。テレサが実の母親だとわかってから初めてふたりで歩く。知る前と後でもふたりの心の景色は変わらない。お互いに動物的な感で感じ取っていたのかもしれない。

「アリシパンではなにかあった?ここについてからあなたはいつも暗く沈んだ表情をしている。」

「実は、国に戻ってからミッションの中止としばらくの国外渡航を禁じられたの。あまりに突然すぎて、言葉を失ったわ。」

ヒカルはゆっくりと語り出した。

「命令に従う事は絶対だってよく分かっている。それでも私はどうしても確かめたかった。自分のルーツに関わる重要な事だし、お父さんについても知りたかった。その思いを貫くために、私はあまりにも大きな代償を払った。」

ヒカルはつらそうにうつむいた。

「これまで大切に育ててくれたおじさんをとても傷つけた。それだけではなくアリシパンでのおじさん自身の信用も失墜させた。そうまでして、ここにきて本当によかったのか。自分のことだけ考えてここまで来てしまったことに罪悪感を感じている……。」

「とうぞ。」

テレサがハーブティーを入れてくれた。ゆっくりと口をつける。あたたかい湯気からは甘酸っぱいにおいが立ちあがる。一口一口、身体の芯にその温かさが伝わる。

「トゥーリともよくこうして、お茶を飲んだわ。時間が経つのも忘れて、いろんな話しをした。お互いのこと、日常の何気ない出来事、トゥーリもあなたと同じ猫舌なの。飲み方もそっくりね。」

テレサがヒカルの手に触れた。

「もしあなたが知りたいのなら、あなたにも伝えたい。私とトゥーリの記憶をあなたに。」

ヒカルは小さくうなずいた。