青い旅人(第29話) | 青い旅人

青い旅人

16才のヒカルは国家機密情報部の重要な任務を任された。任務名コードネームゼロ。記憶の片隅に消えた歴史、青い民の生き残りを連れ帰る。そして物語の終盤で岐路に立たされる。任務を遂行できるのか。何が待ち受けているのか。ヒカルはまだ知らない。

 薄暗い路地を何度も曲がって、ジャイロは地下街への階段を降りようとした。その時背後から刺すような視線を感じた。振り返ると黒装束の者たちに取り囲まれていた。

「ジャイロ様、我らが主に何の用が。」

「主?お前たち、やはりあいつの手のものだったか。」

「もう一度言う。ここから先はお引取り願いたい。これまでともに力を合わせてきた仲、お互い傷つけあうことは避けたい。トゥーリ様は、寛大にも失敗したあなたに最後の情けを与えてくれた。これまでの功績を評価しての事。今後一切我々に関わることなく、ここにも近づかないで頂きたい。これは最後通告です。どうかお引きとりを。」

「功績?一体何のことだ。陽明、私は己の信じる道を歩んできたまで。他の人間に指図されたことなどない。」

陽明は悲しげにジャイロを見た。

「ジャイロ、私もお前も結局はトゥーリ様の手のひらの上に躍らされていただけ、私たちが出会ったのは宿命だ。しかし、我らの出会いもこれまでのことも、巧妙に仕組まれたものだ。ジャイロ、お前はまだ新しい道を歩める。ここから立ち去れ。」

ジャイロは不覚にも陽明のこぶしをよけることができなかった。みぞおちに入ったパンチで気を失ってしまった。薄れゆく記憶の中で、陽明のささやきが聞こえた。

「お前の探しているものなら、キャルサンにある。」

気がつくと、ジャイロはキャルサン行きの船室のベッドで眠っていた。ジャイロはため息をついた。

「2度も気を失ってしまうとは、なんと情けないことだ。己の力を慢心し鍛錬を怠っていた、おごりが心に蔓延していた。それにしても、巧妙に仕組まれたとは一体何のことだ。私には知らないことが多すぎる。今はとにかくわが身を鍛えなおすことが先決だ。」

ジャイロは深く反省し、黙々と鍛錬を始めた。