ブックマン社より「『認知症』9人の名医」が上梓されています。
認知症に携わっている者として、拝読いたしました。
拝読して、認知症を診るとはつくづくその方の人生と関わることなんだなあ、という
ことを一番に思いました。
それが9人の先生のそれぞれの物語を読み最も強く思ったことです。
認知症は老いと密接に関わっています。どこまでが老いでどこまで治療対象なのか判
然としません。
しかもどのような状態になることが最良と言えるのか、そこに医師としての理想、本
人の希望(伝えられれば)、家族の思惑も絡んできます。
さらに認知症の治療といっても確立したものがなく手探りで、病型が混在している方
の方が普通です。
これほど複雑な病気なだけに、全てが満点になることが不可能な中、本人、特に家族
を説得するには確固たる哲学を持っていないとできないと思います。
9人の方はみな違うアプローチをしていますが、全員の先生の言葉に納得致しまし
た。
それは全ての先生から、多くの治療経験、及びこれまで歩んでこられた人生経験に裏
打ちされた認知症医療に対する哲学を感じたからなんだと思います。
ここに登場される方々は、一回社会で人生経験を積み、しかし思うところがあって医
学部に入りなおした方が多いです。
そのように深く人生を見つめ直した経験がある方が認知症を良く診ることができるの
だと思います。
この本は認知症の本ではありますが、人が生きていくということ、老いていくという
ことはどのような意味を持つのか、ということを深く考えさせられました。
お蔭様でとても充実した時間を持つことができました。
因みに9人の先生の中で4人の先生が弊社のフェルガード、Mガードを使ってくださっており、とても嬉しく思います。