事務局力の本質: 「負のスパイラル」から「正のスパイラル」に蛇口をひねり直す | イノベーションを科学する: フューチャーセンター、ゲームストーミング、サラサラの組織、事務局力、コミュニティ・オブ・プラクティス

事務局力の本質: 「負のスパイラル」から「正のスパイラル」に蛇口をひねり直す

「生産性」という言葉が、悪さをしている

本社、企画、営業、開発、研究、、、こういったホワイトカラーあるいはナレッジワーカーと呼ばれる人たちの、ほとんどのシゴトで、「生産性を上げようと真面目に管理すればするほど、本当の意味での生産性(成果)が落ちる」という現象が起きている。

生産しているものは何か?――これは、シゴトによっても、シゴトに対する視点によっても異なる。だからやっかいなのだ。

企画の生産性が、1日あたりの企画書のページ数で測れるか?営業の生産性が、お客様の訪問数で測れるか?研究の生産性が報告書のページ数で測れるか? もちろん、すべて否である。誰もがそれはわかっている。

だが、会社では、個人のシゴトのプロセスが評価される。そうすると、個人の生産性を何か代替指標を使って測ることになる。そうすると、皆が「自分自身の生産性」に最大の関心を寄せるようになる。そうすると、企画書を書くのに忙しくて外出できない、といったような本末転倒が起きる。もっとひどいことには、企画部門の全員がばらばらに、自分の企画書のネタ集めのために、各部門から情報を吸い上げようとする。いったい誰のための生産性なのか?

生産性向上には、次の二つの異なるアプローチがある。タコツボの生産性(負のスパイラル)と、相互支援の生産性(正のスパイラル)だ。

(1)部分最適の生産性を追求するアプローチと、(2)全体最適を全員が考えるアプローチである。これら二つは、蛇口のひねる方向が逆だと感じるほど、異なる施策をとることになる。

(1)組織の部分最適を促進する「負のスパイラル」
・分担ルールを強化する方向性
・責任を明確化し、やらないときはペナルティを課す考え方

$野村恭彦・新公式BLOG-munus

(2)組織の全体最適に向けて相互信頼を高めていく 「正のスパイラル」
・性善説に基づき確信犯的に人を動かす方向性
・利害関係者の心理を考え、思わずやりたくなってしまうような仕掛けを作るという考え方

$野村恭彦・新公式BLOG-plus

ここで、例題を一つ考えてみてほしい。

あなたは役員に呼び出され、「全社員にリーダシップの研修をやってほしい」と言われた。あなたの頭には、「この忙しいのに」と言う事業部側の顔が浮かぶ。さあ、今までのあなただったら、どのようにこのような仕事を進めてきただろうか?

負のスパイラルと正のスパイラルのアプローチの違いについて、次のチャートをクリック拡大して、自分自身はどちらのスパイラルを使ってシゴトをしていたか、考えてみてほしい。

$野村恭彦・新公式BLOG-enshu

事務局力を発揮するということは、自分自身の雪かき仕事によって、会社のシゴトを正のスパイラルに変えていく行為にほかならないのだ。

さあ、やってみよう。

もっと詳しく知りたい人には、HRインスティテュートで3月末に開催する、次のイベントがオススメです。
HRインスティテュート:会社を動かす「事務局力」養成講座
2010年3月27日(土)10:00-17:00@原宿 HRIビジョンハウス