今回は、前回に続き、「海外帯同する(駐在妻になる)前にしておきたい手続き⑧」をお伝えします。

 

前回では、「確定拠出年金-後編」について紹介しました。今回は、「海外での生活立ち上げ準備~生活資金準備編~」についてお伝えします。

 

 

海外での生活立ち上げの際は、家財道具などを買いそろえたり、電気やガス、インターネットなどのライフラインの契約など、いろいろな初期費用がかさみがちです。思っていたより費用がかかることもあるため、2~3カ月分の給与程度の資金は、日本から持参しておいたほうがよいでしょう。ご主人の勤務されている会社によっては、住居の契約料や家賃、住宅の保険料、車の購入・リース料金や保険料なども、自分で一時立替えたり、一定額の負担が必要な方もいらっしゃいます。ご主人が先に赴任し、あとからご家族が帯同される場合であっても、特に最初の半年ほどは現地での貯蓄が十分でないことが多いため、注意が必要です。

また、家具などは、会社から貸与される場合や、ご主人の前任者から譲ってもらったり、レンタルサービスがある場合もあります。さらに、現地での日本人コミュニティのWebサイト(最近ではFacebookのグループなど)を通じて、比較的安価で家財道具などを購入することで、生活立ち上げの出費を抑えることも可能でしょう。

 

滞在国での買い物や教育費、レストランなどでの支払い方法は、クレジットカード、デビットカード、現金、電子マネー、パーソナルチェック、「Paypal」などさまざまです。しかし、どの国へ行く場合であっても、「現金」を持っていると安心です。出発前に銀行で両替しておきましょう。現金は、できれば現地通貨のほうが良いですが、日本で両替できる通貨は限られています。日本国内で現地通貨に両替できない場合は、日本円以外の現金として、USドル札を持っておくと安心でしょう。

 

国によっては、現地の銀行口座開設やクレジットカード発行に時間を要する場合があります。また、日本の銀行から、ネットバンキングを利用して海外に送金しようとしても、滞在国に銀行口座が開設されていなければ送金もできません。さらに、銀行によっては、海外口座への送金には、事前に送金先を登録しておく必要があり、思っていた以上に手続きに時間がかかります。日本のクレジットカードがあるから大丈夫! と思っていても、利用限度額が低かったり、日本のクレジットカードでは支払えない場合もあります。国際キャッシュカード・デビットカード(海外のATMで、日本の銀行口座から直接現地通貨の現金を引き出すことができるカード)を作って海外のATMでキャッシングする方法もありますが、ATMが故障していたり、また、手数料やレート加算料がかさむ場合があります。

 

日本のクレジットカードや国際キャッシュカード・デビットカードだけでなく、やはり「現金」の準備もしておくと安心です。出発前の準備で忙しいとは思いますが、できれば事前に為替レートの動向を確認しつつ、できるだけ為替レートの良いタイミングで、また、できるだけ手数料の低い手段で事前に両替しておくと一番良いでしょう。こうしたことができなくても、日本出国前に手元の現金を確認し、不安ならば空港で両替していきましょう。「いざ」というときは、やはり「現金」です。

 

 

なお、ご主人の赴任先がアメリカの場合、渡米前から現地のクレジットカードを作る方法があります。特にアメリカでは、通常、クレジットカードを作るにもクレジットヒストリー(クレジットカードの信用情報機関に記録されている利用履歴のこと)が必要です。しかし、日本で発行されたクレジットカードでは、アメリカのクレジットヒストリーを貯めることができません。この場合でも、クレジットヒストリーがなくても、渡米前にクレジットカードの申し込みができる現地発行のクレジットカードがあります。(クレジットカード発行のためには審査があります。)

 

それが、「JAL USA CARD」「ANA CARD U.S.A.」です。

 

これらのカードは、渡米する人を対象としたクレジットカードで、渡米90日前(20193月現在)から日本で申し込むことができます。また、米国の銀行口座開設前であっても申し込みが可能です。ただし、クレジットカードはアメリカの指定住所に発送されるため、申し込みには、米国の連絡住所(カード送付先)が必要です。

これらのカードをアメリカ国内で利用すれば、クレジットヒストリーが蓄積されていきますので、より有利な別のカードを作ることも可能になってきます。

アメリカに居住される予定の方は、要チェックです

なお、クレジットカードの年会費は、JAL USA CARDの場合、ベーシックコース(20米ドル)とプレミアムコース(70米ドル)の二種類から選択ができます。また、ANA CARD U.S.A.の場合は、70米ドルの一種類です。どちらのクレジットカードも、家族カードの年会費は無料です。

 

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次回は、「海外での生活立ち上げ準備~生活準備編~」をお伝えします。

 

 

次回もお楽しみに!

 

 

 

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